緑の中で眺めるプラチナリング
結婚指輪をお届けするお二人とは、島の季節や暮らしの話をするのが好きでした。
お仕事で屋久島に暮らすようになった彼と、彼を訪ねて時々島に訪れるようになった彼女と。
お二人がアトリエに来てくれたのは、ハイビスカスが満開の暑い夏の日のことでした。
あれからサキシマフヨウが咲き、コスモスも咲いて。
お二人と、同じ島の季節を分かち合えたのも嬉しかった!
やがて冬が訪れ、庭先に山茶花を眺めながら、作業机に向かう日々でした。
光沢仕上げをした、シンプルなリングではありますが、
その細部には、はっと息をのむような美しい表情が生まれたように思います。
わたしも大好きな、お二人の結婚指輪です。
その煌めきと静けさを、緑に包まれた景色の中で眺めました。
心地よい12月の光が、そっと寄り添うような晴れの日でした。
二つのリングをそっと重ね合わせてみる。
3.0mm幅の彼のリングと2.0mm幅の彼女のリング。
表面に施した2本の流線が、光沢仕上げとマット仕上げを分けています。
光沢仕上げの部分は島の緑を鏡のように写し、マット仕上げの部分は太陽の光を受けて、眩い輝きを放っています。
島の情景にとても馴染んで見えたのは、リングのアウトラインも、切り込み模様も、その全てが緩やかな曲線で描かれているからでしょう。
指輪作りの憧れは、いつもここにあるような気がします。
空気の中に漂う自然の神秘、とでもいうのでしょうか。
島の暮らしの中に感じる、目には見えないけれど確かにそこにあるもの。
それは、これまでお二人と分かち合ってきたことでもあるようにも思うのです。
光と影。波のリズム。巡りゆく季節の移ろい。
絶え間なく変化を続け、豊かな表情を見せる時間の中で、わたしたちもその一部なのだと感じることができると、癒されます。
手のひらの中には、朝の木漏れ日のような、清らかな響きを感じることができました。
ツワブキの花がまるで小さくて黄色い明かりを灯すように、きらきらと輝いています。
海から吹く冷たい風が気持ちいい。
シダの葉はその風を受けて、ゆらゆらと影を揺らし、
手の中のプラチナリングは、緑に包まれた屋久島の情景と響き合い、まるで喜びに満ちているように見えました。
お二人が2月にアトリエへ来てくれることになっているのですが、
その日がとても待ち遠しく思えますし、
同時に、「ああこれで指輪作りもひと段落なのかあ」と、ほんの少しだけ名残惜しくも思うのです。
わたしたちは、このようにして新しい始まりを繰り返していくのですね。
ご一緒した指輪作りは、まるで一輪の花が咲く瞬間のように、美しい時間だったように思います。
その時間に大切に育まれるようにして、お二人の結婚指輪が出来上がりました。
思い返してみると、最初にメールをいただいたのが、4月だったので、ほとんど一年をかけて、指輪が完成することになるのですね!
楽しい日々をありがとう!!
溢れるひかりをお二人に。
ご結婚おめでとうございます!
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