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小さくてあたたかな息吹 #屋久島でつくる結婚指輪

丸く繋がったふたつのリングを重ね合わせると、こんなにも大きさが違って、なんだかほっこりした。

こうして形になったプラチナには、すでに揺るぎない安定感がある。
数十年、あるいはもっと。暮らしに寄り添っていくことになるだろう。

金属の果てしない時間に思いを馳せながら、おふたりの結婚指輪を作っている。

 

 

一二月には、おふたりが指輪を受け取りにアトリエまで来てくれることになっています。

おふたりとともに時を重ねていく結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

 

まだ暑いくらいなのに、もう十一月なのか。
南の島に暮らしていると夏が長い分、時間の流れが少し不思議に感じられる。
今年もあと二ヶ月。心待ちにしていた季節がやってくる。

アトリエの前にあるサキシマフヨウの木は、ご近所さんの散歩の楽しみのひとつにもなっている。

ほんの少しずつ、雨が降るたびに光が和らいでゆく。朝の始まりも遅くなってくる。そんな何気ない時間に身を寄せながらジュエリーをつくるのが好きだ。

おふたりの結婚指輪もまた、屋久島で感じる時の巡りが大切なエッセンスになっている。
移ろいゆく季節の色彩。水の巡り。打ち寄せる波のリズム。

さて、今日のアトリエです。

リングの円形を丁寧に整えたのち、鉄工ヤスリを片手に表面の削り出し作業に取り掛かった。
作業机には粗さの異なるヤスリを3種類用意した。
プラチナに直接マジックで波模様を描き、そのラインに沿って削り出していく。
まずは最も粗いヤスリでガリガリと、大まかな形をとっていく。
均等な力で、少しずつ角度を変えながら、リングを一周。
途中、より細かなヤスリに持ち替えて、さらに数周。
丸くやわらかなフォルムの中にシャープな波のラインが浮かび上がるまで、同じタッチを何度もくり返した。

どれだけ時間が経ったのだろう。夢中になっていた。
あれほど重く冷たい印象だったプラチナリングが、軽やかな表情をまとっている。

指先でくるくると回しながらその佇まいを眺めていると、リングに宿り始めた小さくてあたたかな息吹が伝わってきた。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

おふたりとともに時を重ねていく結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりの結婚指輪を作り始めたのは、澄み渡る秋の静かな朝のことだった。

南国にもいよいよ冷たい空気が漂い始めている。
アトリエの窓を開け放つと、流れ込む風が心地よい。

作業をはじめる前に熱いカフェオレを作り、長袖のシャツを羽織り庭先に足を運び、明るい空に浮かぶ月を眺めた。

 

作業机の前に座ると、心がすっと平らになっていく。

おふたりとは何通ものメールを交わしながら、デザインを作り上げてきた。ビデオ通話でお打ち合わせをしたり、サンプルリングをお作りしたりもした。
これまで一緒に育んできたイメージが、いよいよこれから形になっていく。

いつもあたたかくお付き合いいただき、ありがとう。

 

おふたりのために配合したプラチナは、驚くほどに硬い。棒状の地金を鉄の芯金に当て、木槌でコンコンと叩きながら、少しずつリングの形へと整えていった。おふたりとともに時を重ねていく結婚指輪なのだ。

くるりと巻いたところで、目指すサイズに合わせ両端を糸鋸で切り落としていく。
しっかりと力を込めながら、手を道具の一つのように動かし続ける。
ガリガリと糸鋸を上下させるたびに、細かな破片が作業台に散っていく。

デスクライトに照らされてきらきらと瞬く、小さなプラチナの輝きがとても綺麗だなと思った。

 

昼過ぎに作業をひと休みし、海の見える丘まで車を走らせた。細やかな作業が続くので、こうして遠くを眺められるのはとても助かる。
水面に光の絨毯が広がり始めるのは、島に新しい季節が訪れる合図でもある。

12月にはおふたりがアトリエまで指輪を受け取りに来てくれることになっている。
眩しい太陽に包まれる、南国の冬だ。

これからコスモスが咲き、山茶花やツワブキも咲き始めることだろう。
島があたたかな色彩に包まれる大好きな季節を味わいながら、指輪作りをじっくりと進めていきたいと思う。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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K18イエローゴールド、ナノハナの指輪に寄せて #屋久島でつくる結婚指輪

イエローゴールドの輝きはとても心地よい。ジュエリーとして身に纏うと一日が始まったばかりのような新鮮な気持ちに包まれる。朝のやわらかく透き通る光に似ているのだ。

ジュエリーの素材となるゴールドやダイヤモンドもまた、この広い大地で果てしなく長い時間をかけて育まれてきたものだ。
わたしたちは、はるか昔から自然に触れ、憧れながら何かを作り出してきたのだと思う。
植物を暮らしの中に迎え、大切にしてきたのも、自分自身が自然の一部であることを確かめるためなのかもしれない。

ジュエリーを身につけることは、それに似ているように思う。小さなリングを通して、自然が奏でる大きなリズムと繋がっていたい。

造形作業がひと段落したリングを庭先で眺めていて、時のかけがえなさを実感した。大地から生まれたゴールドがいくつもの偶然を経て、今この瞬間、小さなリングとなってここにある。ナノハナをかたどる黄金色の光と影が静かに浮かび上がり、まさに一輪の花が咲いているようなのだ。

 

素材には全てK18イエローゴールドを用い、繊細に、そして丈夫に仕立てた。希望そのもののような光と色彩を纏う姿に、春風に揺らめく菜の花畑を思い出す。

 

これからリングを丁寧に磨き上げ、ダイヤモンドをセットしていよいよ完成となる。これまでになかった素材とデザインの出会いは、おふたりの大切な想いから生まれたものである。ナノハナの指輪は、これまでもさまざまな表情で作ってきたけれど、こんなにも素敵なスタイルがあるとは知らなかった。

 

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制作編

調和の中にある美しさ #屋久島でつくる結婚指輪

調和の中にある美しさ #屋久島でつくる結婚指輪

雨が降ったり晴れたりした日。
ダイヤモンドのように煌めく雫と澄み渡る青空がとても綺麗だった。

窓の向こうで刻々と移りゆく情景を眺めながら作業ができるのはありがたい。
この日はずっとアトリエに籠り、指輪作りの細やかな工程に没頭していたように思う。

 

細いゴールドの線で作ったリングと、二つの小さな花を組み合わせる。
手を離しても外れないほどぴたりと合わさるまで、実に長い時間がかかった。

ペンチやヤスリを使って少しずつ造形に変化を加え、指先でリングに微妙なカーブを与えた。
目標のサイズとなるよう、何度もサイズゲージに合わせて確かめた。

ここだ、というバランスに出会えたところで、リングをそっとピンセットで挟み、机の上に固定して、いよいよ双方を繋ぎ合わせる作業に取り掛かる。
リングと花の隙間に融点の低いゴールドのかけらを慎重に添え、酸素トーチの細い炎をピンポイントで当てると、
やがてゴールドが真っ赤に熱を帯び、その瞬間、溶けた金が隙間へとすっと流れた。

 

不思議なもので、こうしてリング状になると、繊細だったゴールドに揺るぎない調和が生まれる。
まるで、手を繋ぐようにして強くなる。

このあとに雨の雫を模した粒金を装飾するのだけれど、水の一滴一滴が花のリングに新たな強さを宿していくのだと思うと、面白い。

ともあれ、指輪作りの大切な山場を無事に越えることができ、ほっと一息というところだ。

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制作編

静けさの中に咲く小さな花 #屋久島でつくる結婚指輪

静けさの中に咲く小さな花 #屋久島でつくる結婚指輪

島に遅い秋の気配が漂い始めている。
水彩絵の具を少しずつ重ねるように移ろいゆく空や海の色彩は、鮮やかで深い。

それでも島の10月はまだまだ暖かく、植物たちが露を纏う早朝の時間を楽しみに、まだ暗いうちに海へと出かける日々が続いていた。

 

 

糸鋸と精密ヤスリを使い、イエローゴールドで小さな花をかたどり始めたのは、島に台風が近づいてきた頃だった。

おふたりの大切な婚約指輪を作り始める朝に #屋久島でつくる結婚指輪

 

台風が接近すると、島と本土を結ぶ流通が途絶え、ちょっとした孤島のようになってしまうのだけど、
まるで時間をはるか昔に巻き戻したような静かな日々は、制作に深く没頭できる得難いひとときであったりもする。

今日の風向きとウネリの高さを確かめ、一日の予定を組み立てる。
熱いカフェオレを作って作業机に向かう。
いつもと変わらないリズムでジュエリーを作っている。

糸鋸でかたどったふたつの花は、その表面を鉄工ヤスリで削り整えた。
木槌でコンコンと叩き、全体に緩やかなカーブを施した。
240番、400番、600番と紙やすりで丁寧に磨き、やわらかなフォルムに仕立てた。

大きさは5mmほどだろうか。
ふたつを並べて指先に収まるほどの繊細な花である。

集まり咲くナノハナの雰囲気を大切にしながら、日常で使いやすいデザインとなるようにと、
花の数や素材感、そして天然石についておふたりと相談を重ねてきた。

 

リング部分は、花と茎が連なるような装飾的なスタイルで作り進めていく。
とても細いゴールドを二本使い、しっかりとした強度を持たせながら仕立てていく。
その先端のそれぞれをくるりと巻き、花を支える場所を設けた。

植物をモチーフにしていることもあり、一つひとつの手仕事はどこか感覚的なものになる。
ゴールドは温度を持ち、生き物のような動きがある。
幾つもの調整を繰り返しながら、手の中でただ一つのフォルムが育まれていく。
そのような時間に向き合えることは、職人冥利に尽きる喜びなのだと思う。

 

大切な想いが形になっていく。
このかけがえのない時間もまた、おふたりと分かち合うことができれば嬉しい。

そう考えると、今この瞬間がいっそう愛おしく思えてきた。

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