
台風が過ぎ去った翌朝、まだ暗いうちに目を覚ました。
アトリエの窓の向こうに連なる山々を眺めると、
空気はどこまでも澄み渡り、夢の中のような色彩に包まれていた。
雲の流れが、とても速い。
その向こう側に、濃いブルーの空が広がり、現れては隠れてを繰り返している。
刻々と移りゆく島の気配に呼吸を合わせるようにして、作業机に向かっていた。
雨のリズム、シャンパンゴールドの指輪作り
焼きなましたリングを鉄の枠に添え、木槌で叩きながら、そのアウトラインに緩やかなカーブを与えていった。
内側の円形を保ちながら、少しずつ造形を整えていく。コンコン。
途中、何度かリングを火にかけて、滑らかな曲線が生まれるまで、同じ工程を繰り返した。
シルエットが理想のものになったところで、表面についた黒い酸化膜を薬液につけて落とし、いよいよ最終の磨き仕上げ作業に取り掛かることにした。
太陽は高い位置へと昇り始め、窓の向こうもようやく明るくなってきた。
激しく降り続いた雨は霧のように弱まり、夏めいた強い日差しが差し込んでいた。
まずは、精密ヤスリを使って、リングの表面に流れを作り出していく。
とどまることのない、永遠の流れ。
途中、キッチンでカフェオレを作り、それを飲みながらまた作業机に向かう。
ここからは、長丁場になる。
その後、紙やすりで磨きをかけていくと、ここで初めて、シャンパンゴールドの本来の色彩が現れた。
胸が高鳴るのを感じながら、じっくりと丁寧に、細部まで磨きあげ、
ふたつのリングを窓際で眺めると、まるで朝の光そのもののように、清らかに輝いていた。

光の巡り、響き合うリズム、永遠の流れ。

とてもシンプルなフォルムにお仕立てしてあるのは、
日々の暮らしにより馴染みやすくなるように。
そして、リングの表面と内側に施す彫刻模様が、より印象的に浮かび上がるように。
おふたりにとって大切な場所である屋久島の記憶を、これからリングに刻んでいくのだけど、
この続きはまた別のお話で。

指輪作りの間、いつも美しく咲いていてくれた紫陽花に、ありがとう。
大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪の完成は、もう少し先のお楽しみに。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547


















