Blog

大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

台風が過ぎ去った翌朝、まだ暗いうちに目を覚ました。

 

アトリエの窓の向こうに連なる山々を眺めると、

空気はどこまでも澄み渡り、夢の中のような色彩に包まれていた。

雲の流れが、とても速い。

その向こう側に、濃いブルーの空が広がり、現れては隠れてを繰り返している。

 

刻々と移りゆく島の気配に呼吸を合わせるようにして、作業机に向かっていた。

 

雨のリズム、シャンパンゴールドの指輪作り

シャンパンゴールドの淡い黄金色、屋久島の深い緑、ハイビスカスの赤 #屋久島でつくる結婚指輪

 

焼きなましたリングを鉄の枠に添え、木槌で叩きながら、そのアウトラインに緩やかなカーブを与えていった。

内側の円形を保ちながら、少しずつ造形を整えていく。コンコン。

途中、何度かリングを火にかけて、滑らかな曲線が生まれるまで、同じ工程を繰り返した。

 

シルエットが理想のものになったところで、表面についた黒い酸化膜を薬液につけて落とし、いよいよ最終の磨き仕上げ作業に取り掛かることにした。

 

太陽は高い位置へと昇り始め、窓の向こうもようやく明るくなってきた。

激しく降り続いた雨は霧のように弱まり、夏めいた強い日差しが差し込んでいた。

 

まずは、精密ヤスリを使って、リングの表面に流れを作り出していく。

とどまることのない、永遠の流れ。

 

途中、キッチンでカフェオレを作り、それを飲みながらまた作業机に向かう。

ここからは、長丁場になる。

 

その後、紙やすりで磨きをかけていくと、ここで初めて、シャンパンゴールドの本来の色彩が現れた。

 

胸が高鳴るのを感じながら、じっくりと丁寧に、細部まで磨きあげ、

ふたつのリングを窓際で眺めると、まるで朝の光そのもののように、清らかに輝いていた。

 

光の巡り、響き合うリズム、永遠の流れ。

 

とてもシンプルなフォルムにお仕立てしてあるのは、

日々の暮らしにより馴染みやすくなるように。

そして、リングの表面と内側に施す彫刻模様が、より印象的に浮かび上がるように。

 

おふたりにとって大切な場所である屋久島の記憶を、これからリングに刻んでいくのだけど、

この続きはまた別のお話で。

指輪作りの間、いつも美しく咲いていてくれた紫陽花に、ありがとう。

 

大切な想いから生まれる、ひとつだけの指輪の完成は、もう少し先のお楽しみに。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

シャンパンゴールドの淡い黄金色、屋久島の深い緑、ハイビスカスの赤 #屋久島でつくる結婚指輪

雨上がりの朝に。

咲いたばかりのハイビスカスのそばで、シャンパンゴールドのリングを眺めた。

 

削り出し作業を終えたリングのフォルムは、丸く、やわらかい。

木々の合間から差し込み始めた光にかざし、リングをくるくると回しながら、その表情を確かめていた。

 

まだまだ作業は途中ではあるけれど、

少しずつ、リングが小さな息吹を帯びてきたように思う。

サイズ違いのお揃いのシルエットが並ぶ様子を眺めていると、なんだかとても嬉しくなる。

 

シャンパンゴールドの淡い黄金色は、深い緑と、鮮やかな赤と、静かに響きあっていた。

 

それにしても、暑い。

眩しい空。もくもくとした大きな雲。

梅雨の終わりも近づいて、7月を前に、島は急に夏めいてきた。

 

リングが完成する頃には、アイスコーヒーやスイカがおいしい季節になっているのだろうなあと、

少し先の未来に心を躍らせながら。

 

アトリエでは、次の造形作業に向けて、下準備を進めていた。

 

ガスバーナーの炎でリングを包み、赤く色づくまで、ゆっくりと温度を上げていく。

シャンパンゴールドは、肩の力を抜くようにして、作業のあいだ張り詰めていた力をゆるめていく。

温度が上がり過ぎないよう気をつけながら、じっくりと、リングに火を回す。

暗くしたアトリエに、オレンジ色の光が広がっている。

台風が近づいてきたせいか、遠くから風の音が聞こえてくる。

島の時間は、今日も静かに過ぎていく。

 

リングが真っ赤になったところで火を離し、グラスの中に注いた水の中に入れると、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

 

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

雨のリズム、シャンパンゴールドの呼吸 #屋久島でつくる結婚指輪

雨のリズム、シャンパンゴールドの呼吸 #屋久島でつくる結婚指輪

リング状に整えたシャンパンゴールドは、

その表面を金槌でコンコンと叩き、作業をひと段落いたしました。

 

金槌の叩き模様はこのあと削られ、表には見えなくなるのですが、

お料理で言うところの下拵えのようなものでしょうか。

こうしておくと、金属はその組成を引き締めるようにして硬くなるのです。

 

工程を経るたびに、硬くなったり、やわらかくなったりを繰り返す。

金属を扱っていると、まるで呼吸をしているように感じることがあります。

 

 

おふたりとアトリエでお会いした数日後に、大きな台風が島を通り過ぎ、長い雨の季節が始まりました。

神々しささえ感じる季節の移ろいに、歩みを合わせるようにしておふたりの指輪を作っています。

雨の記憶。満ちる潤いと、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

そしていま、また別の台風が島に近づいています。

 

今年は例年よりも台風が多いように感じますが、

幸いアトリエでは、無事に制作を続けることができています。

 

「今回の台風が過ぎたら、いよいよ夏が始まりそうですね。」

そんな会話も、島暮らしならではのような気がします。

ときどき大波が海を大きく巡らせることで、海中に広がるサンゴが健やかに育まれてゆく、という話も聞きました。

 

激しい風雨が過ぎ去ると、いつも新しい花に出会えるのも、楽しみの一つです。

浜辺には、ハマユウも咲き始めています。

 

そしてわたしたちも、このような大きな巡りの一部分なのだと思うと、なんだかとても勇気づけられるのです。

 

自然がそっと届けてくれる、小さな知らせのようなものを大切にする気持ちで、もしかするとおふたりとは繋がっているのかもしれません。

 

そして、いよいよ表面の削り出し作業へ。

鉄工ヤスリを片手に、丸くやわらかなフォルムを形作っていきます。

 

片側を一周、そして反対側を一周。

角度を変えながら、何度もタッチを重ねていくと、

少しずつ、ゆっくりと、リングが滑らかな手触りを宿していくのがわかります。

 

シャンパンゴールドは、咲いたばかりの花のような無垢な輝きを放ち、淡く上品な黄金色がリングを静かに巡り始めました。

 

金属のリズムが手の中に響いてきます。

シンプルなラウンドシェイプのデザインであるからこそ、それがダイレクトに伝わってくるのかもしれません。

 

この大地から届く、温もりを帯びた癒しを、おふたりと分かち合えることも、また嬉しく思うのです。

 

かたちの向こう側にある見えない感覚を大切にしながら、

小さなリングの中にひとつの流れが生まれるよう、手を動かし続けていました。

 

そして、彼のリングの削り出し作業をあらかた終え、少し経ってからだったと思います。

窓の向こうではまた、しとしと雨が降り始めました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

雨の記憶。満ちる潤いと、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

湿度を帯びた雲が、山々に重くのしかかっている。

今年の梅雨は深く、長い。

雨の気配はもう少しの間、この島に留まるのかもしれない。

 

毎日のように雨が降り注ぎ、植物たちは生き生きとした表情を宿している。

雨のやみまに散歩に出かけると、驚くほど背丈を伸ばした木々に出会った。

 

シダの葉も、ツユクサも、雨を含んで濃く艶やかな色彩を纏っている。

この満ちる潤いが、屋久島の豊かさを育んでいるのだろうと思う。

 

この島に暮らして、もうずいぶん長くなるけれど、

気がつけば、この雨をどこか心待ちにしている自分がいるのだから、不思議なものだ。

 

ちょうど新しい制作を始めるタイミングだったので、

指輪作りに使うシャンパンゴールドを、シダの葉のそばで眺めた。

 

植物たちとやわらかく響き合うような、シャンパンゴールドの静かな輝きが好きだ。

 

山歩きが大好きなおふたりも、この植物の気配を帯びた色彩に、自然と心を惹かれたのだと思う。

相談会で初めてお会いしたのだけれど、大切な気持ちを分かち合えたような気がして、とても嬉しかった。

 

小雨が降り続く小さな森の中を歩きながら、

ちょうどこの梅雨が始まる頃、アトリエでお会いした日のことを懐かしく思い出していた。

 

アトリエに戻ると、すぐに作業机に向かい、シャンパンゴールドをバーナーの炎で焼きなました。

炎を受けて金属がやわらかさを取り戻したところで、手でぐいっと思い切りよく曲げ、鉄の芯金に当てながらハンマーで打ちつけていく。

 

これから少しずつ、おふたりと一緒に育んできたイメージが形になっていく。

一度きりの時間が、手の中で紡がれていくことに、心が踊るのがわかる。

先ほど歩いた小さな森の印象が、まだすぐ近くに漂っている。

こんこん、と叩きながら、シャンパンゴールドを少しずつ丸く、リング状に整えていく。

まずは、最初の一歩である。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

イエローゴールドとダイヤモンド、雨の響き。ナノハナの指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

6月の雨の響きに心をまかせながら、大切な贈り物にとお選びいただいたジュエリーを作っている。

まるで厚い水の膜に包み込まれているような感覚が、安らかで心地よい。

 

ルーペとピンセットを手に作業机に向かい、細やかな作業を重ねていく間も、雨はまるで呼吸をしているように、強くなったり、やわらいだりしながら、長く降り続いていた。

 

3輪の花に、小さな粒の装飾、そして細い線を組み合わせたリング。

そのすべてをK18イエローゴールドで形作っていった。

 

糸鋸で花をかたどり、鉄工ヤスリで削り出し、紙やすりで磨く。

そして、出来上がった一つひとつの細やかなパーツを、炎の中で繋ぎ合わせていく。

昔から長く変わらない手作業の音が、アトリエの中に静かに響いていく。

 

0.1mmのタッチで表情が変わってしまう、緊張感に包まれた作業ではあったが、

深い集中の中に身を置く、心やすらぐひとときであったように思う。

 

リングが出来上がると、彼が彼女にこのジュエリーを手渡す日がやってくる。

まるで花束を贈るように。

 

短い間ではあるけれど、ともに思い描く未来へ向かうオーダーメイドの時間が好きだ。

大切な想いから始まるジュエリー作りは、いつも喜びに満ちている。

 

イエローゴールドに添える天然石として、クリアカラーのダイヤモンドを揃えた。

作業の合間、ガラスのシャーレに並べたゴールドとダイヤモンドを眺めていると、

雨の雫を纏った菜の花が、春の雨上がりにそっと揺れているように見えた。

 

作業の合間には、北部まで車を走らせ、淡いブルーグレーに染まった海を眺めた。

 

この指輪が完成する頃には、梅雨も明けているだろう。

 

山々を厚く覆っていた雲が遠ざかり、水平線がクリアに浮かび上がる。

いよいよ夏がやってくる。

 

そのようにして、私たちはまた、それぞれの新しい日々を迎えることになるのだけど、

それまでの時間を、ゆるやかに分かち合っていくことができればいいと思う。

 

菜の花畑に広がる黄色い光のような、希望に満ちた日々を思い描きながら。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547