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満ち欠ける月、シャンパンゴールドとプラチナの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

春の香りの中で眺めた、コンビネーションリング。

淡い光をまとった色彩が満ちていて、

シャンパンゴールドもプラチナも、島の時間に溶けていきそうに感じられました。

まるで月を眺めているような、澄んだ安らぎが込み上げてきました。

 

 

おふたりの結婚指輪を作り進めていたのは、ちょうど島で皆既月食を眺めた頃でした。

春の訪れとともに湿度が満ち、植物たちが生き生きとした表情を取り戻していく、熱帯の日々でした。

満ち欠ける月と、シャンパンゴールド、プラチナの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

 

月にまつわるおふたりの結婚指輪作りだったこともあり、

制作のあいだは、よく空に浮かぶ月を眺めていたような気がします。

 

完成したときに、アトリエの周りに月見草が咲いていたのも、なんだか素敵なタイミングでした。

 

島リズムのゆっくりとしたペースとなりましたが、長いあいだお付き合いをいただき、本当にありがとう。

 

満ち欠けを繰り返し、時とともに表情を移ろわせ、ときには驚くほどに大きく見えたり。

月が奏でる神秘的リズムに魅せられてデザインした、おふたりの結婚指輪です。

 

彼の2.0mm幅と、彼女の1.8mm幅

お揃いのラウンド-スクエアシェイプでお仕立てした、コンビネーションリングです。

 

重ね合わせた佇まいは、とても繊細でやさしい。

 

内側から側面へ、そしてわずかに表面へと、シャンパンゴールドのやわらかな黄金色が広がっています。

表面から側面にかけては、プラチナの静かな輝きが満ちています。

 

リングの中では、それぞれの金属がちょうど半分ずつになるようにお仕立てしています。

 

プラチナを基調としつつも、

ときおり、さりげなくシャンパンゴールドの色彩が感じられる。

 

その表情のやわらかな移ろいは、まるで月のような豊かさをたたえ、心にそっと満ちてきます。

 

おふたりと指輪作りで分かち合ってきたものは、あるいは、空気の中に漂う、響きのようなものだったのかもしれません。

 

 

リング内側のデザインも、大切にしたところです。

お名前と日付を彫刻し、その間にムーンストーンを添えて仕上げました。

 

その細やかで力強い細工を眺めていると、どこか祈りにも似た、澄んだ気持ちに包まれていきました。

 

新しい始まりを迎えるおふたりとご一緒できた、希望に満ちたひとときだったように思います。

雨上がりの屋久島サウスより、

おめでとう。ありがとう。

 

そして、私たちの物語は、まだもう少し続いていくのでした。

 

このリングは、もうしばらく大切にお預かりをし、

アトリエでお会いできる日を、今はとても楽しみにしています。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

重なり合う時間。潤いと緑の中で眺めるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

考えてみると、指輪作りのあいだは、雨がよく降った。

プラチナリングが少しずつかたちになっていくのと響き合うように、島の緑もまた、日に日にその濃さを深めていったように思う。

 

おふたりの結婚指輪の造形作業がひと段落したのも、そのような雨降りのタイミングだった。

 

リングの表面に目の細かい紙やすりをざっとかけると、ふたつの丸いフォルムが現れた。

それらはまるで、ずっと昔からここで寄り添っていたような、対のシルエットを持つリングだった。

 

まだ雨は降っていたけれど、庭先でふたつのプラチナリングを眺めることにした。

 

自然の光の下で、細部の造形を確かめたかったのもあるし、

おふたりのリングには、これから緑色の石をセットすることになっているからでもあった。

 

エメラルドは、その深い色調も、どきりとするような透明感も、水に包まれた屋久島の緑にとてもよく似ていると思う。

 

 

大きさの違う2本のリングは、それぞれの質量を確かに携えながら、

ぽつりぽつりと降り続く雨の中で、ふたつでひとつにも見えた。

 

形を成したプラチナリングは、おふたりと数えきれないシーンを分かち合いながら、これから長い時を寄り添っていく。

 

リングの内側には、繋がる模様を彫刻することになっている。

 

アトリエに戻り、2本のリングを重ね合わせ、

日付と名前、繋がる模様、そしてエメラルドのレイアウトを慎重に整えていく。

 

そうしているうちに、小さい方のリングがすっと大きい方の中に収まり、なんだか嬉しくなる。

出会うことって、とても素敵なことだなあと思う。

 

長く続く雨音に耳を澄ましながら、

最後の仕上げに向けて、静かに、ほのかな希望のなかで手を進めていた。

 

 

 

雨が降り始める前に #屋久島でつくる結婚指輪

次の雨が降り始める前に。

削り出し作業のひと段落したプラチナリングのシルエットを、春の陽光の中で眺めました。

 

ふと、足元に目をやると、

タイミングを合わせたかのように、猫も日向ぼっこです。

 

若葉をつけ始めた木の下でリングを手に取ると、プラチナは鏡のように島の緑を映んでいて、思わずうっとり。

洗練された、心地の良いフォルムになってきています。

 

実は、直に肌に触れる部分はリングの内側が大きく占めていて、

ここは見えないところではあるけれど、日々のつけ心地に大きく響く部分を大切にしていきたいと思うのです。

 

表面の造形がうまくできていることを確かめてからアトリエに戻り、さっそく内側の削り出し作業へと取り掛かかりました。

内側も表面と同じように鉄工ヤスリを入れ、丸く滑らかなカーブに仕立ててまいります。

 

削り進めるごとに、作業台にはプラチナの粉がたくさん散らばり、その集積を眺めていると、もうこんなところまでやってきたのだなあと、なんだか少し、この指輪作りが名残惜しく感じられたりもしました。

 

手を動かすうちに、アトリエが急に静かになってような気がして、窓を開けて海の方を眺めると、厚い雲が水平線の方角にかかり、また雨の気配が漂い始めていました。

波音とともに、あたたかく湿った風が部屋の中に流れ込んできました。

 

雨に潤されて、緑はいよいよ深まり、山を歩く時間も、これからまた心地よくなっていくのでしょうか。

 

アウトドアでの活動が多いおふたりなので、

シンプルでプレーンなかたちは、扱いやすさという点でも心強いものだと思います。

 

小さな傷や曇りも、ときどき手をかけながら整えていく。
そうして過ごす時間の中で、この指輪は少しずつ、おふたりのものになっていくのだと思います。

 

島のアトリエで作っているふたつのリングが、未来へと繋がっていく。

そう思うと、いまこの瞬間が、かけがえのないものに感じられました。

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

やわらかな力強さ。島のリズムに育まれるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

やわらかな力強さ。島のリズムに育まれるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

タッチを加えるごとに、その手触りを変化させていく。

金属を扱う手作業は、どこか生きものと向き合っているようで、面白い。

 

プラチナをリング状に整えたあと、表面を金槌でコンコンと打ち付けていった。

ぐるりと一周、また一周。

表面と側面に凹凸が現れるまで、均一な力をしっかりと加えていく。

 

こうして圧力を加えると、プラチナはきゅっと身を引き締めるようにして硬化する。

その変化の中で、リングには温度を帯びた“動き”のようなものが宿っていくのがわかる。

 

これから長くお使いいただく結婚指輪なので、しっかりと丈夫に仕上げていきたい。

 

 

屋久島で出会ったおふたりと、屋久島でお会いして始まった結婚指輪作り。

屋久島に咲いた花。おふたりとの結婚指輪作りのはじまり。#屋久島でつくる結婚指輪

 

小さなリングではあるけれど、プラチナには確かな重さがある。

同時に存在する硬さとやわらかさは、大地から生まれた金属ならではの、深く有機的な質感なのだと思う。

その手触りがやさしく響くように、リングを丸いフォルムに削り出していく。

 

視覚的な美しさと、日々のつけ心地。

その両方を丁寧に重ねていくと、ラウンドシェイプというかたちが、いつの時代にも選ばれてきた理由が、ふと腑に落ちてくる。

 

削り出し作業の前に、庭先の花々に癒されておく。

やわらかな力強さが、いつもここにある。

 

鉄工ヤスリを、目の粗いものと細かいもの2本。

それぞれを使い分けながら、ここまで一気に削り出した。

滑らかで途切れのないラインを生むためには、途中で手を止めないことが大切になる。

 

ラウンドシェイプのリングを造形していると、いつも白いシャツやイチゴのショートケーキのことを考える。

シンプルで普遍的なフォルムだからこそ、そこには作り手のスタイルやアイデンティティが強く反映される。

 

わたしの場合、それは、緑に囲まれた島での暮らしそのものであるのかもしれない。

その日々を快適にしていくように、リングのデザインもより良いものに磨き上げていきたい。

 

このあと、ヤスリを精密なものに持ち替え、細やかにバランスを整えていく。

目立たない工程ではあるが、多くの時間と集中力を要する作業だ。

 

なんともゆっくりとしたペースのものづくりだけど、

島のリズムに合わせて、少しずつ、ふたつのリングが育まれていく。

今はそのような時間とともにあることが、楽しい。

 

夕暮れ時には、オレンジ色に染まる雲を空に見上げた。

日も長くなってきたなあと思いながら、

ずっと遠くを眺めて、目をゆっくりと休ませていた。

 

 

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屋久島に咲いた花。おふたりとの結婚指輪作りのはじまり。#屋久島でつくる結婚指輪

しとしとと、やわらかな雨が降り続いている。

島を足早に通り過ぎるたび、植物たちを目覚めさせ、その緑を深めていく春の雨だ。

海から強く吹きつける風は、湿度を帯びて重たい。

気がつけば、ずいぶんとあたたかくなったものだ。

 

 

そういえば、おふたりとアトリエでお会いした日も、雨が降っていた。

屋久島で出会われたお二人と、今年最初の結婚指輪の相談会でした #屋久島でつくる結婚指輪

 

山茶花やツワブキの咲く頃から始まった結婚指輪作りだったけど、

あれから冬を越え、庭先の芝生も、柔らかな青さを帯びてきた。

 

気がつけば、半袖のシャツ一枚で過ごせるほどの気候になり、

指輪作りを始める朝には、生垣のハイビスカスが今年最初の花をつけていた。

 

これから島は、熱帯の気配に包まれていくことだろう。

南国ならではの鮮やかな色彩が、日々に寄り添っていてくれる。

 

窓の向こうを眺め、どこか心を弾ませながら、作業机に向かうことにした。

いよいよ、おふたりの指輪作りが始まる。

 

作業のために用意したプラチナを、リング状に整えるところから始める。

酸素トーチの炎に包み、1000度以上まで温度を上げ、その両端をつなぎ合わせていく。

 

すぐにプラチナは強い光を帯び、仄暗いアトリエにオレンジ色の光を放ちはじめる。

その光から目を守るためにサングラスをかけ、プラチナが溶け合う瞬間を見定める。

 

細い炎の先端を接続部分に当てては外す、そのタッチを何度も繰り返しながら、来るべきタイミングを注意深く待ち続ける。

 

やがて、つなぎ目が溶け合い、ひとつのリングが生まれる。

 

その刹那、溶解が周囲にも広がっていくのがわかる。

 

金属に生じた微細な変化に、短距離走のスタートのように体を素早く反応させ、リングから火を外した。

 

つなぎ合わせたプラチナを円形に整えると、二本のリングがぴたりと重なり合い、嬉しくなった。

不意に、アトリエでお会いしたおふたりのことを、懐かしく思い出す。

 

思えば、透明な糸のようなつながりに導かれるようにして、ここまでやってきた。

その出会いは、偶然なのかもしれない。

けれど、だからこそ、確かにここにあると信じられる何かがある。

 

屋久島には、不思議な磁力のようなものが漂っているように思う。

この指輪作りも、あるいは、島に咲いた一輪の花のようなものかもしれない

 

雨音に包まれたアトリエの中で、心がどんどん平らになっていく。

まるでそのリズムに励まされているように、プラチナリングに向かい、長い時間手を動かし続けていた。

 

 

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