
6月の雨の響きに心をまかせながら、大切な贈り物にとお選びいただいたジュエリーを作っている。
まるで厚い水の膜に包み込まれているような感覚が、安らかで心地よい。
ルーペとピンセットを手に作業机に向かい、細やかな作業を重ねていく間も、雨はまるで呼吸をしているように、強くなったり、やわらいだりしながら、長く降り続いていた。

3輪の花に、小さな粒の装飾、そして細い線を組み合わせたリング。
そのすべてをK18イエローゴールドで形作っていった。
糸鋸で花をかたどり、鉄工ヤスリで削り出し、紙やすりで磨く。
そして、出来上がった一つひとつの細やかなパーツを、炎の中で繋ぎ合わせていく。
昔から長く変わらない手作業の音が、アトリエの中に静かに響いていく。
0.1mmのタッチで表情が変わってしまう、緊張感に包まれた作業ではあったが、
深い集中の中に身を置く、心やすらぐひとときであったように思う。

リングが出来上がると、彼が彼女にこのジュエリーを手渡す日がやってくる。
まるで花束を贈るように。
短い間ではあるけれど、ともに思い描く未来へ向かうオーダーメイドの時間が好きだ。
大切な想いから始まるジュエリー作りは、いつも喜びに満ちている。
イエローゴールドに添える天然石として、クリアカラーのダイヤモンドを揃えた。
作業の合間、ガラスのシャーレに並べたゴールドとダイヤモンドを眺めていると、
雨の雫を纏った菜の花が、春の雨上がりにそっと揺れているように見えた。

作業の合間には、北部まで車を走らせ、淡いブルーグレーに染まった海を眺めた。
この指輪が完成する頃には、梅雨も明けているだろう。
山々を厚く覆っていた雲が遠ざかり、水平線がクリアに浮かび上がる。
いよいよ夏がやってくる。
そのようにして、私たちはまた、それぞれの新しい日々を迎えることになるのだけど、
それまでの時間を、ゆるやかに分かち合っていくことができればいいと思う。
菜の花畑に広がる黄色い光のような、希望に満ちた日々を思い描きながら。
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