
雫を模した丸い石枠を支えるプラチナリングは、細くすっきりと削り出した。
頂上にわずかな尖りを帯びた、山型のフォルムだ。
繊細な佇まいの中に強度を持たせるため、十分な高さを残して仕立ててある。
表面の一箇所には、石枠の底がぴたりと収まる小さな凹みを作った。
数本の鉄工ヤスリを使い分けながら、造形を進めていくわけだけど、
気がつけば、机の上には実にたくさんの種類の工具が並んでいる。
ルーペに定規、罫書ペン、先端の形状が異なる鉄工ヤスリ、番手の異なる紙やすり、サイズの異なるドリル刃…。
指先に乗るほどの小さなリングを作るのに、これほど多くのものを使っているのだと、いつもながら感心してしまう。
道具としての精度は、時代とともにずいぶん高くなったように思う。
それでも手の中にあるのは、はるか昔から変わることなく受け継がれてきた、素朴な手仕事の道具たちだ。
例えば、鉄工ヤスリの削りが甘くなってきたと感じれば、同じものを買い足していく。
ドイツ製の糸鋸を、イギリスの工具店から取り寄せたりもする。
そうして長い年月をかけて集まった、馴染み深い工具たちが、今日も作業机の上に並んでいる。
作り出すジュエリーは、島で暮らす日々の中で出会うインスピレーションから生まれるものではあるが、
それらは同時に、長い歴史に育まれてきた文化の一端なのかもしれない。
島の季節とクラシカルな製法とが出会うとき、そこにどのような造形が生まれるのだろうか。
その興味が、今もわたしをジュエリーづくりへと導いているように思う。

朝、目を覚ますと、6時台だというのに、もう暑い一日が始まっている。
眩しい青空と、蝉の力強い鳴き声が、
揺るぎのない夏の時間が流れていることを知らせてくれる。
できるだけ早い時間に作業机に向かい、制作を始めるようになったのも、
夏のジュエリーづくりならではのリズムなのかもしれない。

いよいよリングと石枠をつなぎ合わせる作業に取りかかる。
位置と角度をぴたりと定め、ピンセットの重みでそっと固定した。
酸素トーチの炎に包み、一気に温度を上げると、リングは鮮やかなオレンジ色に染まっていく。
こうして作業を繰り返すうちに、冷たい金属に、少しずつぬくもりが宿っていくように感じられた。
それは、いつも不思議に感じることなのだけれど。

雨の雫や、季節に咲く花々の儚さも美しいけれど、
その一瞬の表情や形を、永く留めておくことができるプラチナもまた、素晴らしい素材だと思う。
おふたりの暮らしに、長く寄り添うリングになりますように。
金属を手にしていると、自然とそのような願いが生まれてくる。
あと少し。
いくつかの工程を経て、リングは完成となるわけだけど、
この続きは、もう少し先のお話で。
プラチナとダイヤモンドが織りなす儚い煌めきと、永遠へとつながる造形を、どうぞお楽しみに。


















遠い場所に暮らしているわたしたちが、この島で出会い、おふたりの指輪が生まれたことは、