
南国の暑い日が続いている。
時折、アトリエの界隈をスコールが通り過ぎ、ひとときの潤いをもたらしてくれる。
まるで薄い水の膜に包まれているみたいに、重たい湿度が満ちているけれど、
どこかその雨を心待ちにしているところもある。
雨上がり、庭先に出ると、月見草が大事そうに、たくさんのしずくを抱いていた。
水が描き出すさまざまな情景に癒されるのは、屋久島ならではの時間だなと思う。
ちょうど今、雨の雫をモチーフにしたリングを作り進めていることも、
とても素敵な巡り合わせのように感じられた。
一粒のダイヤモンドがぴたりと収まるように、丸いプラチナの石枠を作りました。
雨上がりの光を宿す、ひとしずく。
毎日というわけではないけれど、島に暮らしていると、やはり雨は多い。
夏の天気雨、梅雨時の重たい雨、冬の冷たい雨と虹。ダイヤモンドを散りばめたような、春の朝露。
それらの情景は、いつしか日常の一部分となっていて、
庭先に咲く花々と同じように、小さくあたたかな息づかいを持つものに感じられる。
一粒の雫を模した石枠の周りには、小さな雫が宿るイメージで、造形を進めていく。
リングもプラチナで仕立て、そこに小さな雨上がりの時間を作りたい。
ありがとう。
大好きな雨のフィーリングを、ジュエリー作りを通して分かち合えることを、何よりも嬉しく思いながら。

プラチナの細い線をくるりと巻き、リングの形に繋ぐ作業に取り掛かった。
アトリエの照明を落とし、酸素トーチに火を灯す。
炎でリングを包み、プラチナが真っ赤になるまで温度を上げていく。
とても繊細なリングなので、熱で溶けてしまわないよう、細心の注意を払わなくてはならない。
温度がおよそ1000度を超えたところで、繋ぎ目に融点の低いプラチナをすっと流し込む。
とてもシンプルな作業だが、何度繰り返しても、緊張感が途切れることはない。

ろう付け作業がうまくいき、リングのシルエットを緑の中で眺めた。
幅1.15mmと、とても細いリングではあるが、硬い配合のプラチナを使っているので、手にすると確かな安心感がある。
リングを細くすることで、指の上にダイヤモンドが、雨の雫たちが浮かび上がるように仕立てることができる。
庭先では、夏の白い百合が咲き始めた。
それにしても、季節は確実に巡っていく。
そのゆっくりとした力強い歩みに置いていかれないようにと、
この先に続く工程を、頭の中で丁寧に思い描いていた。

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遠い場所に暮らしているわたしたちが、この島で出会い、おふたりの指輪が生まれたことは、


