
そろそろかなと思って、お気に入りの場所に足を運んでみると、大好きなルリハコベが咲いていました。
ルリハコベは、春が訪れると島の海岸沿いに佇む、1cmほどの小さな花で、
そのブルーに出会うたび、はっと心を奪われます。
クローズアップで眺めたときに現れる、その精巧なフォルムも、魅力なのですよね。
これまでにも、この小さな青い花をモチーフに、いくつものジュエリーを作ってきました。
まるでクラスメイトみたいに、寄り添い咲く小さな花々。
ふわりと抜けていく潮風。
目の前を静かに流れていく、3月の景色。
屋久島は、もちろん森の美しさが素晴らしいですが、
わたしたちが暮らす里では、花と海に囲まれた穏やかな時間が流れています。
繋がりに導かれた出会いであったり、日々コツコツと形にしていくおふたりのリングもまた、島の巡りゆく季節に育まれている。
この場所で、この時間の中で生まれていくものだからこそ、確かに信じられる手触りがあるように思うのです。
さて。今日のアトリエです。
削り出しを終えたリングに、やわらかな温度を宿すように、いくつかの大きなタッチを加えていくところです。
背筋を伸ばし、静かな気持ちで。
ふたつのプラチナリングに、少しずつ表情を与えていきます。

叩き、圧力をかける前に、まずはプラチナを真っ赤になるまで熱し、緊張をほどいています。
プラチナがやわらかくなったのち、筒状にカーブした鉄の枠に添え、木槌でコンコンと叩き、少しずつリングを曲げていく。
途中、芯金に通して円のバランスを整え、再び枠にあて、しっかりと力を込めて叩く。
叩いて硬くなったプラチナを、酸素トーチの炎に包み、やわらかくする。
そのような工程を、納得のいくカーブが立ち上がるまで、何度も繰り返していきました。

今回の指輪作りの佳境でもある工程を無事に終え、ほっと一安心です。
プラチナリングはなめらかなカーブを纏い、ゆらめきながら浮遊しているようにも見えて、
まるで水の中を泳いでいるときみたいな感覚だなあと、波の打ち寄せる海のことを思いました。
作業が終盤へと向かうのと歩調を合わせるように、おふたりの新しい時間の始まりも、静かに近づいてきています。
このあと、紙やすりで表面を磨き上げていくのですが、
これからは全て、手の感覚だけを頼りに、包み込むように整えていきます。

春に煌めく島の祝福に包まれながら。
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