
夜明けの空が、鮮やかに色づきはじめている。
陸から海へと流れる風はゆるやかで、まだ少し冷たい。
一日の始まりに波に乗ろうと、5時過ぎに浜辺に立つと、水平線はすでに淡く光を帯びていた。
海からアトリエに戻り、カフェオレを作り、作業机に向かう。
時計の針は、8時過ぎを指している。
波がある日のリズムだ。
自然はいつも、創作に澄んだインスピレーションを与えてくれる。
そのような喜びを、誰かと分かち合うことができると、日々は静かに満ちていく。
屋久島よりもはるか北、自然に近く暮らすおふたりを思いながら、
新しいジュエリー作りに取り掛かることにした。

奥に見えるのが、彼のイエローゴールド。
手前にあるのが、彼女のシャンパンゴールド。
同じK18ゴールドでありながら、色の印象は大きく異なっている。
イエローゴールドには太陽のような温かみがあり、彩度が高い。
一方、シャンパンゴールドは、どこか植物的な気配を含んだ、落ち着きのある上品な色合いを見せてくれる。
ゴールドは24分率を基準に配合される。
18の純金部分は共通で、残りの6の組み合わせを変えることで、この違いが生まれてくる。
そして、その配合には、装飾品としての強度や安定性も同時に求められる。
お揃いでありながらも、お互いが個性を宿している。
ときに引き立て合い、ときに補い合いながら、ひとつのかたちへと結ばれていく。
ふたつのゴールドで作る結婚指輪には、わたしたちの時間がふれあった瞬間に生まれる、あの反応に似たものがあるように思う。

さて、いよいよお二人の結婚指輪作りが始まる。
ゴールドの色合いと、リング幅に微妙な変化を持たせながら、同じラウンドシェイプのフォルムを作り上げていく。
春の可憐な花をモチーフにした彫刻模様が、そのつながりをより確かなものにする。
はじめに、ガスバーナーの炎でゴールドを包み、600度ほどまで温度を上げた。
均一に火を巡らせておくことで、金属はやわらかくなり、このあとの手仕事が進めやすくなる。
やがて、ゴールドが赤みを帯び始める。
溶けてしまわないように、ゆっくりと、慎重に手を進めていく。
夕暮れが訪れ、アトリエは深い緑に包まれている。
雨降りの前兆なのだろうか、不思議なくらい静かだった。
そして、タイミングを見定めて、火から離す。
すぐにゴールドをグラスの水へと落とすと、ジュっと歯切れの良い音を立てた。

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