
屋久島サウスに長く降り続いた雨が止んだことに気がついたのは、プラチナリングの造形作業が終わりに差し掛かった頃だった。
ハンドモーターで内側をなめらかに磨き仕上げていると、不意に、窓の向こうからどこか懐かしい光が差し込んできた。
数日ぶりに包まれる陽光に、自然と感謝の気持ちを抱くのは、雨の多いこの島ならではの感覚なのかもしれない。
思い切りよく窓を開け放つと、湿った大地の香りが勢いよくアトリエへと満ちてきた。

春の香りに導かれ、庭先に出てみると、光の中で大きなハイビスカスが煌めいていた。
花の周りにはいくつもの蕾がふくらみ、芽生えたばかりの若葉が、透き通る緑を帯びている。
弾むような春のリズムに寄り添いながら進めてきた指輪作りだったように思う。
いよいよ折り返し地点を過ぎ、ここまでの時間をどこか懐かしく振り返りながら。

プラチナリングのアウトラインを、雨上がりの光の中で眺める。
緑を通り抜けて届く光は、次第に強さを増し、小さなリングの中に深い陰影を生み出していた。
リングの角度を細かく変えながら、光の巡りを確かめる。
そのたびに、プラチナの表面が鏡のように光を返す。
楽しくなって、くるくる。
寄り添うふたつは、緑の中でやわらかに響き合い、ひとつの音色を帯びているように感じられた。

リングには、デザインの核となる彫刻模様を施していくわけだけど、
この続きは、また別のお話にしよう。
おふたりだけの装飾がかたちを結ぶよう、これから細やかな調整を重ねていく。
それは、おふたりと抱いてきたイメージが、島の季節の中で育まれ、どこまでも広がっていくような時間にも感じられる。
想像していたよりもずっと素晴らしい未来が待っている。
完成は、もう少し先のお楽しみに。
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制作編




















