
イエローゴールド、ピンクゴールド、そしてプラチナ。
三種類の金属を合わせて、指輪を作っている。
それぞれの金属が手をつなぎ、ひとつの輪を描くように。
そのフォルムは、愛おしく思えるほど小さい。
作業台の上にゆらめくバーナーの炎を眺めながら、
数年前のリング作りのことを、懐かしく思い出していた。
大阪に暮らすおふたりに結婚指輪をお届けしたのは、島が深い雨に包まれる梅雨の終わり頃だった。
お互いの一部分を交換するように、という想いを込めて、ピンクゴールドとプラチナでお仕立てしたコンビネーションリングのことは、今でもはっきりと覚えている。
タイミングが重なり、彼とは大阪で直接お会いすることもできた。
あれから、二年半ほどが過ぎ、久しぶりに届いたおふたりからのメールが、今回の指輪作りのきっかけとなった。
「出産の記念になるようなジュエリーが欲しいと思っております。」

作業をしやすいよう、イエローゴールドとピンクゴールドはやや長めに寸法をとっておいた。
それでも、とても小さく、くるりと巻いていくのはなかなか大変だった。
なにせ、生まれて数ヶ月の赤ちゃんの指に合わせるリングだ。
金属の枠にリングを当て、金槌でコンコンと叩きながら、ゆっくりと円形に近づけていく。
少しずつではあるが、三つの金属がひとつになってゆく。
赤ちゃんの小さな指輪のサイズは、細い紙を指に巻いて測っていただいた。
交差するところにマジックで印をつけた紙が、つい先日、島に届いた。
その細い紙が知らせてくれる赤ちゃんの小ささを思い、言葉にはならない想いが溢れてきた。
たしかに、かたちのあるジュエリー作りではあるけれど、
小さなリングへと紡いでいくのは、ご家族の絆の物語なのかもしれない。
三つの色をひとつにするベビーリングのデザインが生まれてきたのは、とても自然なことだったように思う。

指輪作りの始まりを合図にするように、島には春が訪れた。
毎晩のようにやわらかな雨が降り、
朝になると、庭先ではいつも新しい景色に出会うことができる。
きっとこうしている間にも、赤ちゃんは、驚くほどに大きくなっていくのだろうなあ、と、
海の向こうを思いながら、一日の作業の準備を始め、幸せな気持ちに包まれていた。





















