
屋久島サウスに、真夏の強い日差しが降り注いでいる。
アトリエを包む熱帯の色彩が力強い。
お盆を過ぎたはずなのに、まだまだ暑さは続いており、
ここ数日は作業場に篭り、窓の向こうを眺めながら、
どこか夢の中に暮らしているような心地で、おふたりの婚約指輪を作り進めていた。

ハイビスカスの木を生垣にするのは、屋久島の南部ならではの暮らしなのかもしれない。
ちょうど目の高さに咲いた花に身を埋めるようにして、ふわりと癒されながら。
さて、アトリエです。

イエローゴールドの細いリングとプラチナの花。
シンプルな組み合わせだからこそ、ひとつひとつの手仕事が、そのままリングの表情となって現れてくる。
余分なものをできるだけ省き、必要なタッチだけを必要な分だけ施していくと、
そこには生き生きとした表情を持つ、ひとつの個性が生まれるのだから、とても不思議だ。
ツワブキの指輪は、屋久島の時間を豊かに感じる作品だと思う。
それは小さな世界ではあるけれど、時間をかけて大切に育んできた、わたし自身にとっても思い入れの深いデザインだ。

花とリングを無事に一つにつなげ終え、紙やすりで表面を丁寧に磨き上げた。
400番から、600番、そして800番へと徐々に目を細かくしながら、滑らかな質感に整えていく。
最後にファイバーブラシを使い、細かなラインをランダムに加えていくと、
有機的で、やわらかな表情がリングに宿った。
端正でありながら、温かみのある仕上がりになったように思う。
あと一歩で完成だ。
そして、おふたりにとっては、それが新しい始まりを迎える合図でもあるのだ。
そんなことをしみじみ思いながら、窓際の光にかざし、そのシルエットを眺めていた。

いつかのアイスケーキと。

いつかの月。
指輪作りの日々をやさしく見守っていてくれた屋久島に、ありがとう。
作業も、いよいよ終盤に差し掛かってきた。
ほんの少しだけ名残惜しいような気持ちもするけれど笑
最後までじっくり丁寧に進めていこう。
完成の日を楽しみにお待ちいただけると嬉しい。
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