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ひとつの音色。雨上がりの光の中で、プラチナリングを眺める #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島サウスに長く降り続いた雨が止んだことに気がついたのは、プラチナリングの造形作業が終わりに差し掛かった頃だった。

 

ハンドモーターで内側をなめらかに磨き仕上げていると、不意に、窓の向こうからどこか懐かしい光が差し込んできた。

 

数日ぶりに包まれる陽光に、自然と感謝の気持ちを抱くのは、雨の多いこの島ならではの感覚なのかもしれない。

 

思い切りよく窓を開け放つと、湿った大地の香りが勢いよくアトリエへと満ちてきた。

 

春の香りに導かれ、庭先に出てみると、光の中で大きなハイビスカスが煌めいていた。

 

花の周りにはいくつもの蕾がふくらみ、芽生えたばかりの若葉が、透き通る緑を帯びている。

 

弾むような春のリズムに寄り添いながら進めてきた指輪作りだったように思う。

いよいよ折り返し地点を過ぎ、ここまでの時間をどこか懐かしく振り返りながら。

 

プラチナリングのアウトラインを、雨上がりの光の中で眺める。

緑を通り抜けて届く光は、次第に強さを増し、小さなリングの中に深い陰影を生み出していた。

 

リングの角度を細かく変えながら、光の巡りを確かめる。

そのたびに、プラチナの表面が鏡のように光を返す。

楽しくなって、くるくる。

 

寄り添うふたつは、緑の中でやわらかに響き合い、ひとつの音色を帯びているように感じられた。

 

リングには、デザインの核となる彫刻模様を施していくわけだけど、

この続きは、また別のお話にしよう。

 

おふたりだけの装飾がかたちを結ぶよう、これから細やかな調整を重ねていく。

それは、おふたりと抱いてきたイメージが、島の季節の中で育まれ、どこまでも広がっていくような時間にも感じられる。

 

想像していたよりもずっと素晴らしい未来が待っている。

完成は、もう少し先のお楽しみに。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

海と森、そして光のイメージへ #屋久島でつくる結婚指輪

 

海と森、そして光のイメージへ #屋久島でつくる結婚指輪

一日を通して、長い雨が降り続いていた。

アトリエは湿度のベールに包まれたように静まり、窓の向こうでは緑がひときわ深くなる。

雨はときおり激しさを増してざあざあと降り、やがてまた穏やかになる。

そのようなリズムを、ゆっくりと繰り返していく。

なんとも屋久島らしい時間を心地よく感じながら、作業に夢中になっていた。

 

 

熱帯の季節へ。

いつも結婚指輪作りに寄り添ってくれる屋久島に、ありがとう。

時の中に咲く、プラチナリングのかたち #屋久島でつくる結婚指輪

 

 

気がつけば一年の1/4が過ぎていた。

やがて雨はさらに深まり、屋久島サウスには百合や紫陽花が咲き始めるだろう。

 

ゆっくりと、けれどもどこまでも力強く、

島を包み込む自然のリズムに励まされながら。

 

さて、今日も作っている。

プラチナリングの表面に施す彫刻模様は、今回の結婚指輪作りの核となる部分なので、

油絵の具をのせる前の白いキャンバスのように、余白ができるだけ大きくなるよう、丁寧に作り上げていく。

 

あるいは、そうして余白を立ち上げていくこの感覚は、むしろ日本画的なアプローチに近いのかもしれない。

 

海と森、そして光のイメージへ。

 

ほのかに丸く整えた表面に、一周するように三つの象徴的なかたちを、ラインで描き入れていく。

 

最初は目の粗い鉄工ヤスリで大きく削り出し、徐々にヤスリの目を細かくしながら、均一な曲面へと整えていく。

無数の平面を幾重にも重ねるようにして、ひとつの滑らかなカーブを作り上げていく。

削り出すたびにプラチナの生の質感があらわになり、その無垢な輝きに心を奪われる。

 

意外かもしれないけれど、プラチナの手触りはとてもやわらかい。

その有機的な質感が、より自然に手に馴染むよう、内側にも緩いカーブを与えていく。

 

造形作業がひと段落するまでに、4本の鉄工ヤスリと数種類のサンドペーパーを使った。

表面と内側はなだらかなカーブに包まれ、側面にすっきりとした平面を残したフォルムが出来上がった。

 

よりスムーズなラインを生み出すため、ここまでは手を止めることはなかった。

その小さなリングの中には、止まることのない静かな流れのようなものが宿っていることを、確かに感じ取ることができた。

 

作業机の上には細かなプラチナの粉が散らばり、デスクライトの光を受けて、きらきらと輝いていた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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時の中に咲く、プラチナリングのかたち #屋久島でつくる結婚指輪

タッチを重ねるたびに、造形のリアリティが立ち上がってゆく。

 

両端をつなぎ、ひとつの円となったとき、プラチナは揺るがない強さを帯びるのだけど、その手触りはどこまでもやわらかい。

金属が纏う永遠と、わたしたちが触れる一瞬の安らぎが、ひとつの場所で響き合う。

 

今という瞬間が幾重にも重なり、やがて永遠が形作られてゆく。

 

 

沖縄と神奈川、そして屋久島。

広い海を越え、手を繋ぐようにして、おふたりの結婚指輪を作っている。

あたたかな想いとプラチナリング。熱帯へと移ろう時間 #屋久島でつくる結婚指輪

 

金属の悠久の時間に身を委ねて作業を進めていると、

自分と金属のどちらが導いているのか、わからなくなることがある。

リングを作っているのではあるけれど、

わたしたちはこの宇宙の中でプラチナに出会い、ほんのひととき、そこに身を寄せているだけなのかもしれない。

そう思うと、どこまでも果てしない感覚に包まれる。

 

それは、海を泳ぎ、森を歩くときに訪れる、

畏れと安らぎが静かに広がっていく感覚に似ている気がする。

 

その世界に対する親しみのようなものを、大切な人と分かち合えると、日々は喜びに満たされる。

おふたりとは、空気の中に漂う悠久の時間を大切に思う気持ちで、繋がっているのかもしれない。

 

一日の始まりに、いつものビーチに向かった。

その途中に車を止めて眺めた朝焼け。

太陽は、リングのモチーフのひとつになっている。

 

重なり合い、ひとつになり、そしてまた重なり合う造形が好きだ。

 

プラチナをリング状に整えたあと、その表面と側面を金槌で叩いた。

真金に通し、鉄のプレートの上で、目当てのサイズに達するまで何度も打ち重ねていく。

 

均一に刻まれた槌目模様は、このあと削り落とすことになるのだけれど、

削り出し作業の前に、こうしてしっかりと圧力を与えておくと、プラチナは組成を引き締めるように、さらに強さを帯びていく。

 

この工程は、料理で言うところの下拵えにあたる、大切な部分だ。

これから長く寄り添う指輪になるよう、見えないところをしっかりと頑張っておく。

 

ゆっくりとした島のリズムで、いつも遠回りのような道のりだけれど、じっくりと進めていこう。

 

今この瞬間が、確かなかたちへと繋がっていく。

リングが完成に近づくにつれ、始まりのときもまた近づいてくる。

そう思うと、ひとつひとつのタッチが、いっそう愛しく、大切なものに感じられた。

 

 

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あたたかな想いとプラチナリング。熱帯へと移ろう時間 #屋久島でつくる結婚指輪

春の瑞々しい香りが立ち込めている。

朝、目を覚まして窓を開け放つと、重たい湿度がふわりと部屋の中まで入り込んでくる。

山肌にぽつりぽつりと灯り始めた新緑が眩しい。

一年ぶりにこの感覚を味わいながら、懐かしい友人に再会したときのような、やさしく穏やかな気持ちに包まれていた。

 

シダの葉のくるくるに出会うと、今年もまた新しい時間が始まったのだと、明るい気持ちが満ちてくる。

 

庭先でプラチナを手に取り、これから始まる指輪作りのイメージを整えているてと、また厚い雲が空を覆い尽くしてきた。

強い風と短い雨を繰り返しながら、少しずつ熱帯の気配を帯びてゆくのも、この季節ならではのリズムだ。

 

これから夏へ向かう島は、いきいきと鼓動を強めていく。

その風に耳を澄ませながら、おふたりの結婚指輪を作り進めていく。

それは、月が満ちていくような、とても素敵な時間のように思えた。

 

アトリエに戻り、まずはプラチナを酸素トーチの炎で焼きなました。

柔らかくなったところで、芯金にあてながらハンマーで叩き、くるりと丸く導いていく。

コンコンコンと、はるか昔から変わらない音色がアトリエに響き渡る。

 

彼のリングを丸くしたのち、続いて彼女のリングを。

それぞれの厚みに合わせて、ほんのわずかに力加減を変えながら、同じタッチを重ねていく。

これから先は、すべての工程をこのリズムで、交互に進めていくことになる。

 

まだ始まったばかりではあるけれど、おふたりとともに思い描いてきたリングの姿が、手の中で少しずつ輪郭を帯びていく。

 

まずは最初の一歩だ。

 

一日の作業を終え、海の見える丘まで車を走らせた。

日もずいぶんと長くなってきた。

 

彼女が暮らす沖縄では、もうハイビスカスが咲き始めているだろうか。

彼は神奈川で、今ごろ桜を眺めているのかもしれない。

 

水平線が、ゆっくりとオレンジ色に染まってゆく。

屋久島とおふたりを結ぶ時間が、季節のめぐりの中で、静かに紡がれていく。

 

いつもあたたかな気持ちで、一緒に歩いてくれて、ありがとう。

 

扉は開かれ、光が溢れ始めました。

喜びを分かち合いましょう。

 

 

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ご家族の物語。色彩でつながる、ベビーリング #屋久島でつくる結婚指輪

手をつなぎ、ひとつの輪を描くように。

3色の金属を重ね合わせ、ベビーリングをお仕立ていたしました。

春の陽だまりに包まれた屋久島サウスより、ご出産おめでとうございます。

 

 

ご両親の結婚指輪は、プラチナとピンクゴールドが響き合うコンビネーションでお仕立てしました。

豊かな響き. 屋久島からお二人にお届けする“稲穂模様の結婚指輪” #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島の祝福に包まれていた、指輪作りの日々。

山の裾野では、赤ちゃんのお名前の由来となったヒマワリが咲きました。

色彩でつながる、ベビーリングのかたち #屋久島でつくる結婚指輪

 

大切な想いから始まるオーダーメイドには、いつも眩しいほどの喜びが満ちています。

ご家族を繋ぐ愛情から生まれたインスピレーションに、ありがとう。

 

ご両親の結婚指輪と同じプラチナとピンクゴールドに、ヒマワリをイメージしたイエローゴールドが重なり、3色のベビーリングをつくろうと閃いたのは、とても自然なことだったように覚えています。

小さなリングへと紡がれたのは、ご家族の絆の物語なのかもしれません。

 

生まれて2ヶ月の赤ちゃんの指のサイズは、細い紙を巻いて測っていただきました。

その紙が島に届き、くるりと巻いたときの、本当に小さかったこと!

込み上げてきた愛おしさは、今も心の中に響いています。

 

そのサイズに合わせ、プラチナ、ピンクゴールド、イエローゴールドを均一に繋ぎ合わせました。

リングの表面は、柔らかな丸みを帯びたフォルムに整えています。

 

指先に収まるほどの小さなリングですが、

ご両親の結婚指輪とぴたりと同じデザインに仕上げ、そのつながりを大切にいたしました。

 

リングの内側には、

お誕生日と、お名前。

 

そして、生まれた時の体重を、

誕生の記憶とともに、大切に刻み込みました。

 

12月生まれの赤ちゃんの誕生石は、タンザナイトでした。

 

天然石と金属の長い時間と、わたしたちの時間がここで重なり合い、永遠を形作っていく。

そう考えると、今という時間が、いっそう大切に思えてきます。

 

赤ちゃんが大きくなるまでは、ネックレスにして身につけておくのも素敵ですね。

やわらかい革紐なら、内側を傷つけることなく、安心してお使いいただけます。

 

ひだまりの中、手のひらに小さなリングを乗せて眺めていると、

春の小花たちとリングとが、仲良く集まって遊んでいるように見えました。

海の向こうに思いを馳せながら、あたたかな気持ちに満たされていきました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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