いよいよ始まったお二人の結婚指輪作り。
作業机では素材となるプラチナを手に、
いただいた手紙や、サンプルリング、デザインのデータなどを、
航海の地図のように眺めていた。
お二人が屋久島に来てくれて、
素材やスタイルのお話をして、
それからの数ヶ月はラインで数えきれなほど言葉をやりとりして、
出来上がったデザインを表すと、
紙いっぱいの数字に置き換わりました。
数字はかたちを代弁するのだから、ジュエリー作りではいつも支えになってくれていて。
そして、かたちは想いを代弁するものだろう。
お二人のイメージを前にして、ドキドキせずにはいられなかった。
そして、数字を長く計算したせいでしょうか、すごくお腹が空いてきた。笑
お昼はタマゴサンドイッチを作って食べて、
からの、今日は島の東側まで出かけることに。
緑のトンネルをサーフボード片手に数分、歩いて抜けると
誰もいないビーチにかたちの良い波が打ち寄せていた。
この木の下を本拠地として、波に乗っていると、ちらほらと仲間も集まってきた。
水はちょっと冷たいけれど、日差しが強くって、
まだまだ夏の余韻漂う屋久島のころごろであります。
ここでは何本か波に乗ってからアトリエに戻り、
フレッシュな気持ちで指輪作りを始めました。
まずは彼のリングから。
リング幅が2.5mm
メンズでは、すっきりとつけやすくも、しっかりとボリュームあって、安心してお使いいただけるサイズ感であります。
酸素トーチで高温の火をかけて柔らかくして、叩いて丸く、糸のこと鉄鋼ヤスリでサイズを調整して、そしてまた火をかける。
いつもの手作業を続けていくと、
造形のベースとなるリングが出来上がりました。
さっそく、外の光の下でアウトラインをチェック。
プラチナのリング越しに、窓の向こうに広がる屋久島の山々を眺めていると、
彼と彼女のことを思い出した。
山登り大好きなお二人はつい先日も登山に出かけたと言っていたなあ。
8月の初めにお二人が海を渡ってしずくギャラリーに来てくれた時、
山登りがきっかけで出会ったことを話してくれたのがとても印象に残ってる。
大好きなことがあって、それにまつわる物語があって、
そして今も、これから先もその物語はずっと続いていくのだから、
出会いって素敵だなと思う。
お二人の時間をキュッと詰め込んだような指輪を作りたい。