プラチナのリングに力を加える前には酸素トーチの炎に包んでリングを真っ赤になるまで加熱してする。
キュッと固くなっていたプラチナがふわりとその緊張を解く。
プラチナは元々とても素直な金属なので、鉄製の曲面台に乗せて強い圧力を加えるとそれに沿うように曲がってくれる。
なだらかなカーブから段階を経て急なカーブに移行していく。
途中にリングの中心円をきちんと整えながらイメージしていた曲線になるまで少しずつ。
およそ目指していた造形にたどり着いたところでそっとリングを薬指に合わせてみる。
彼のサイズが自分の指よりも大きかったので途中で支えながらクルクルと回してみたりする。
大切なつけ心地を試してみたかったからだ。
リングを手にしていると、気持ち良い冬の光が差し込んでくる。
ブラインド越しには屋久島サウスの山々が見える。
お二人と一緒にこの指輪を作り上げてきた。
秋のアトリエでお会いしてから3ヶ月、あるいはインスタグラムを見てくれていた頃からなのかもしれない。
今までずっとありがとう。
お二人とご一緒した時間が生み出してくれたプラチナリングなのだと思う。
時間は花のように美しいものだと思うのだけれど、
心や身体性を伴う物作りというのは今はもう少なくなってきている。
それでも同じ何かを感じている仲間がいる。繋がりを信じて作っていこうと思う。
リング作りはここでひと段落になるのだけれど、少し時間を置いて新しい目でもう一度眺めてから最後のタッチを加えたいと思っています。
島の季節と共にリングを眺めるのもとても楽しみ。
この続きはまた別のお話で。
出来上がりはもう少し先のお楽しみに。
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