朝一番の船で送り出す荷物があったので、
早い時間からアトリエで作業を始めることに。
明るくなり始めた窓の向こうを見ると、
なんとなく空の雰囲気も春めいてきたように感じられた。
これから海を渡るプラチナリング。
屋久島からお二人の暮らす鹿児島は日置までは直線距離では約150kmm弱ほど。
でも海を渡ることになるので、実際はフェリーに乗って6時間ほどかかってしまい、
朝の船に乗って、この指輪がお二人のもとに届くのは明日の朝ということになります。
ゆっくりとした歩みだったり、回り道だったり、
お二人とのそんな指輪作りの時間もなかなかお気に入りだったなあ。
さあ、今日もじっくり参りましょう。
この冬によく食べた朝ごはん。
サツマイモと里芋、ジャガイモを茹でておいて、
卵と一緒にフライパンで焼いてコーヒーと一緒にいただいてからの、
ジュエリー作りです。
作業台に素材となるプラチナとお二人と一緒に作ったデザインのサンプルリング、
そして糸鋸、鉄鋼ヤスリ、ルーペ、バーナーと工具のいろいろを準備して、いよいよこれから作業を始めることに。
11月にしずくギャラリーでお会いしたお二人に届ける結婚指輪作りです。
ツワブキのつぼみコロコロで、まだシャツ一枚で過ごせるくらいあたたかだった冬の始まり。
ギャラリーでお二人と過ごした時間がもうすでに懐かしくて!
これから造形を始める前に、プラチナを酸素トーチの高温にかけて、柔らかくなるよう焼き鈍しています。
繊細でスッキリとしたデザインを選んでくれたお二人には特別硬い配合のプラチナを用意いたしました。
なのでなかなか硬い!笑
その硬いプラチナをコンコンとハンマーを使って丸くするシーンを動画に収めてみたのがこちら。
それにしても、金属というのは不思議でもあり、素晴らしい素材でありますね。
こうして端と端をつなぎ合わせると、さらに安定を増してくる。
大地から生まれた素材が溶けて新たな配合となり、分配されて、指輪の素材となる。
お二人とわたしが出会って、一つのデザインが生まれる。
実にさまざまな出来事が複雑に重なり合ってここまでやってきた。
手に取ると、今が、この小さなリングが奇跡のようにも感じられた瞬間。
出会い編