お二人の結婚指輪を作り始めるその前に島の西側まで車を走らせた。
いつだって気持ちを真っ白にできるので、海と山に囲まれた屋久島での暮らしは助かる。
クワズイモに囲まれた海まで続く道を歩く。
だれも通っていなかったのだろう。道はかなり細くてワイルドだった。
潮の香りがどんどん濃くなってくる。
ふと立ち止まるとそこにハマユウが咲いていることに気がつく。
誰もいない平日の午後。
心の中が徐々に安らいで平らになっていくのを感じ取ることができた。
ありがとう。屋久島
持ってきていたピンクゴールドをそっと手に取って眺めてみる。
ピンクゴールドは夏の光を受けて鏡のように反射する。
その輝きが眩しくて思わず目を細める。
海までたどり着くと干潮になって浅くなったサンゴ礁の上を長い時間をかけてゆっくりと歩いた。
山からの緩やかな風が吹いている。湿度も潮の香りもすごい。
鳥だったり蝉たちの音、波の音もざわめいているはずなのにとても静かに感じられるのが不思議に思えた。
ふと水際に目をやるとぽつりぽつりと雨の滴が水面を打つのがわかった。空を見上げると分厚く暗い雲が近づいてきている。
台風が近づいてきているのだ。もしかすると雨は当分降り続くのかもしれない。
濃密なジュエリー作りになりそうだ。胸のずっと奥のほうが弾んでいる。
屋久島の神秘だなと思う。ついさっきまでとは別の自分がいることに気がついた。
屋久島の響きを感じながら作業机に向かっている。今日も爽やかな晩夏の風が吹いている。
この癒しのようなものも結婚指輪とともに分かち合うことができると嬉しい。
海の向こうに暮らすお二人にありがとう。
さぁ、始まりの合図です。一緒に歩んでいきましょう。
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