ステンレスの型枠に添えたリングを木槌で叩き、造形も一旦折り返しとなるお二人の結婚指輪。
サキシマフヨウ の開花とともに始まって、秋の気配の中進めてきた制作の日々を振り返る。
お二人としずくギャラリーでお会いしたのは夏真っ盛りの頃だった。
あれからは海もあって、ハイビスカスもプルメリアも咲いたし、大きな台風も来たし!なんとも屋久島らしい日々だったなあ。
ここまで長くお付き合いいただいてありがとう!
結婚指輪を作るときは、今までの暮らしと、これからの暮らしの、お二人が区切り目に立っていることがしばしばで、そのドキドキとした瞬間にご一緒できるのは、わたしにとっても大切な時間となっている。
今までの旅がひと段落して、これから長い旅が始まる、二人で一緒に地図を開いて眺めている、宝物のような時間だなと思う。
ちょうど指輪が出来上がる頃に長く暮らした屋久島を旅立つことになっている彼女のリングを今日は眺めながら。
*
wave ring in platinum
アウトラインにカーブを施したプラチナリング。全体を丸く、柔らかな曲線が包んでいる。
淡いピンクの色合いが心地よくて、サキシマフヨウ 越しに小さなリングの中を眺めているシーン。白色系のプラチナは、暮らしの中で世界の色々を写しこんでくれるだろう。
彼のリング と彼女のリングをここで初めて並べて。スクエアシェイプ とラウンドシェイプ 、それぞれのスタイルが重なり合って、新しい一つの息吹が生まれるような、そんな結婚指輪を思い描いている。
1日が終わる頃、その花を閉じるサキシマフヨウ 。季節の中には、小さな終わりと始まりが重なり合っている。そのサイクルの一部となって、ジュエリーを作ってゆこう。
お二人の指輪が出来上がる頃、島にはまた新しい花が咲き始める。