屋久島サウスのアトリエです。
シャンパンゴールドの輝きは穏やかで麗しい。
まるで悠久の森に佇む樹木のように静かな趣を漂わせている。
プラチナもそうであるけれど、存在する圧倒的な時間の長さが金属の凄さだと思う。
目の前にあるこのリングもまた、はるか宇宙的な時間の中にあって、その旅の途中に私たちは出会ったようなものなのかもしれない。それは本当に奇跡的に。
お二人と、屋久島も、わたしも、きっと全ては旅の途中にあるのだろう。
巡り合いは偶然のようでもあり、必然のようでもあり。
今この瞬間を確かに感じながら作業机に向かっている。
彼女のシャンパンゴールドは丸く造形した後に、その表面を均一にならすように整えた。
大きな鉄鋼ヤスリから精密ヤスリへと、そして紙やすりを使って徐々に面を細やかにしていく。
柔らかさと硬質さ、輝き、シャンパンゴールドはさまざまな表情を同時に際立て始める。
表面の次は内側も丸く柔らかく造形をした。
目には見えない部分ではあるけれど、直接指に触れるところは一番大切にしていたい。
なんと言っても毎日何十年も身につけているリングである。
そしてここで彼のプラチナリングにバトンタッチをすることに。
シャンパンゴールドのリングの印象が鮮明なうちに思い切ってアウトラインを削り出し、
造形のひと段落したリングを庭先に咲き始めた緋寒桜の下で眺めた。
緋寒桜は夕暮れ時の光を受けて、その日最後の輝きを放つところだった。
2.5mm幅、ラウンドシェイプ。
リングの厚み(高さ)は彼女のリング同様出来るだけ低くなるように作っている。
しっかりとした強度を保つギリギリのラインを狙って、全ての採寸を改めて計算し直してボリュームを整えてみたのだけど、とても気持ちの良いバランスに出会うことがきた。
軽やかでありつつも、たっぷりとした質量を感じられるアウトラインだ。
それはわたし自身、今のフィーリングにとても馴染んでいるような気がする。
わたし一人の想像を大きく超えて遠くまで辿り着くことができる。
お二人と歩むオーダーメイドには無限の可能性を感じずにはいられない。
やがて辺りは仄暗くなり、空には小さく輝く上弦の月を眺めることができた。
一日の作業を終えるときだ。
ありがとう。
明日もきっと良くなる。
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