屋久島サウスのアトリエです。夕暮れ時、造形のひと段落したプラチナリングを空にかざして。陰影が強くなったアウトラインを眺めている。
島に暮らしていると、空と海は眺めるというよりも、不意にどこかから、匂いや音が聞こえてくる。いつもそこに広がっている感覚がある。まるで家族みたいに。
そんな空にまつわる指輪作りのお話。
0.39ctのダイヤモンドに魅せられつつ、プラチナで月をかたどって指輪を作り進めている。婚約指輪となるこのリングの、その向こう側にある物語に思いを馳せながら。
お二人がいて、屋久島があって、わたしがいて、つながりや巡り合いから生まれるオーダーメイドのジュエリーは奇跡のかけらのようだなと思う。
リングはシンプルにプラチナ素材を使って。酸素トーチとピンセット、ヤスリ、こちらもシンプルな道具しかない場所で造形と向かい合う時間は楽しい。
彼と一緒に毎日メールをやりとりしながらデザインしたイメージが少しずつ形になってきた。
今日はその過程を眺めていこう。
彼が頑張って測ってくれた彼女のサイズにピタリと合わせたい。
1000度近くまで熱して。赤く強い炎はいつまでも眺めていられる。
リングに浮かび上がる三日月。細いリング。ダイヤモンドの予感。
婚約指輪は結婚指輪と重ね合わせることが多くなるので、繊細さと確かさが共存するようなバランスを意識していたい。この先お二人でつけることになるだろう、ペアの結婚指輪との相性をイメージして、今からもうワクワクしている。
さて、デザインの細部にはあと少し装飾を施していこう。これまでのことやこれからのことが、キュッと詰まっているような指輪になればいいと思う。
オレンジに染まり始めた西の空を眺めながら、お二人の物語を思い描いている。
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