夕暮れ時、ついに造形の完了したお二人のリングを眺めている、屋久島サウスのアトリエです。まだ梅雨を引きずっているのだろうか、霞みがかった山々が美しい。
ピンクゴールドのリングと風景との調和。
手の中でキュッとした硬さの中に感じる、ふわり柔らかな質感が心地よかった。
島に暮らすお二人に届ける結婚指輪作りでは、山や海、植物と近しい感覚をとても自然に分かち合うことができたなあ。
ここは海っぽい感じで、とか、有機的な質感で、とか、リングのイメージをふわりと伝えることができるのはありがたい。
こうやって結婚指輪作りを介して仲間になるように、
気がつけば、いつの間にか、同じような気持ちを共有する誰かを探している。
わたしにとってはそれがジュエリー作りの目的なのかもしれない。
ハイビスカスにバナナの葉っぱ、スコールも、島の夏を感じながら作った(この先にもう少し作業があります)リングを眺めてゆこう。
18k pink gold, one of a kind wedding ring
手前が出来上がったばかり、彼女のリングです。
ピンクゴールドにマットな質感。リング表面に施した切り返しのラインがスッキリ感。
素材を感じるシンプルなデザインをお二人が好きなのがよくわかります。
彼のリングを重ねてみる。
リング幅は2本ともに2.3mm。サイズ違いで素材、デザインお揃いのリングです。(このあと彼女のリングにもう少し作業があります)
シャープであるような、柔らかであるような、
クローズアップで眺める金属の表情が艶かしい。
ああ、早くつけていただきたい。
アートと工芸とのポジションがあるなら、結婚指輪はその中間くらいに位置するのかもしれない。
もちろん日々の暮らしの中で体の一つのようになる感覚があって、また、手から外して眺めてみたり、ときどき細部を気にしてみたりするのも楽しみの一つかなと思っている。
サイズやボリューム具合、つけ心地など、ほどよい制限の中にある素材やデザインのアート性と触れ合う時間が楽しい。細部に表情が豊か。
思えば数年越しの作業がひと段落して、ホッと一息。
窓のずっと向こう、遠くの山々を眺める時間。
でも、お二人にお届けするまでが結婚指輪作りですからね笑
楽しい時間はもう少し続きます。
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