アトリエから西へ車を5分ほど走らせて大きな川を渡ったすぐのところ、県道沿いの山側にこの辺りで一番早く花を咲かせる緋寒桜の木があります。
新しい指輪作りを始める日の朝にお二人が選んでくれたプラチナを眺めたり。
冷たい北風の中に始まりの季節がすぐ近くまでやっていている気配を感じたり。
お二人とは屋久島のアトリエお会いすることができました。
数ヶ月越しの想いが叶った日。
海を越えて会いにきてくれてありがとう!
秋から冬へ、長くお付き合いをいただきながらのオーダーメイドになるけれど、
お二人と分かち合う指輪作りの日々もわたしにとっては大切な時間となっています。
そして、リングが出来上がる頃にはもう春の予感に包まれているのだろうなあ。
お二人の新しい暮らしが始まるのだなあ。
そんな思いを巡らせるのも楽しい。
気がつくと時間を区切ることに一生懸命になりがちなこの頃ではあるけれど、どこかにふわりと安らぐスペースのようなものがあればいいと思うのです。
指輪作りの日々もそうですし、もちろん、そうして出来上がる結婚指輪もお二人にとっての癒しであると素敵だなと思います。
そう、それは熱いハーブティーをひと口飲んで体や心の芯の方にじわじわと響いてくるような感じかもしれません。
時間の美しさを感じられるような結婚指輪になればいいと思っています。
さてさて、アトリエでは作業のファーストタッチです。
硬いプラチナを酸素トーチの炎に包んで柔らかくしてから金槌でコンコンと叩く。
すとんと均一だったフォルムに細いところ、太いところの抑揚を与えていきます。
考えてみると遥か昔からずっと変わらな手作業であります。
道具の精度が上がりとてもやりやすくはなっているけれど、このコツコツとしたリズムがとても好きだなあと思うのです。
なんだか時をしっかりとキャッチできているような気がしてホッとします。
ともあれ、わたしたちはいよいよ指輪作りの第一歩を踏み出しました。
これまで一緒に抱いてきたイメージがリアルな形を持ってここに生まれようとしています。
出来上がりまでのまだまだ長い道のりが、もうかけがえなく感じられるのが不思議ではありますが 笑
喜びを分かち合いましょう。
海の向こうで新しい暮らしを始めたばかりのお二人とご一緒する結婚指輪作りの日々を、皆さまどうぞあたたかく見守っていてください。