屋久島サウスのアトリエです。リングはくるりと丸いのも良い。巡り、均衡と、永遠。なんとなく我々の時間のようでもあるな。少しずつ小さなリングに宿りつつある鼓動を手のひらに感じながら。
あるいは、春と夏雨の間にあるボーナスタイムなのかもしれない。なんとも日本らしい梅雨の抒情に包まれて、お二人の結婚指輪を作っている。
植物はもちろんなのだけれど、雨もそうだし、しずくにも、風にも、それぞれの息吹が宿っている、アミニズム感は日本での暮らしならではの感覚だと思う。特にこの島では、一滴のしずくと自分自身との距離が近しく思えてくる不思議がある。なぜだろう、とても自然に、全てのものが等しい命に感じられるのだ。
小さな息吹を帯びて出来上がり、お二人の時間に寄り添い育まれてゆくリングの姿を思い描きながら、コツコツと作業の手をすすめている時間もまた愛おしい。
さて、今日も屋久島の季節と歩みを共にしながら。
朝のしずく。始まりのしずく。素敵な1日となりますように。
両端をしっかりとつなぎ合わせてリングにしよう。そうすると驚くほどにプラチナはその強度を増す。
雲が切れたタイミングに遠くを眺めておく。
彼の細いのと、彼女の太いの。サイズもこんなにも違っている。2本をマトリョーシカのように重ね合わせると、なんだかとても微笑ましい心地に包まれた。リングは角ばった金属めいていて、有機的なタッチはまだ感じられない。重さもなかなかある。
これから鉄鋼やすりを使って、プラチナを削り落としてゆくのだけれど、小さな息吹はもうこのリングの内部に存在しているのかもしれない。お二人と一緒イメージしたフォルムが奥の方に、確かに見えている。
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