庭先の草をバッサリと刈り込んで(もらって)、すぐ近くまでアプローチできるようになったバナナの木。葉っぱが子供の背丈くらいはある。
しっかりとした実がつきそうな気配があるので、作業の合間に訪れてはここで空を見上げては、リフレッシュしてまた作業机に戻る夏の一日。
同じ夏を過ごしている屋久島の友人に届ける結婚指輪作りです。
ピンクゴールド、屋久島の海、夕暮れ色。新しい結婚指輪作りが始まる前に、いつものビーチまでやってきた。#屋久島でつくる結婚指輪
彼とは島に来てかなり早い時期に出会っていた。というよりかは、実は島に来て初日に会った人!
屋久島に暮らすことになって、船で海を渡り、家主さんにまずは挨拶に行って、その次に会話をしたのが彼だったのです。当時、彼は電話線を引く工事のお仕事をしていて、「オレも移住してきていて」なんて話ができて嬉しかったのをよく覚えている。
今こうしてオレが指輪を作っていて、彼が庭のバナナの木までの道を作ってくれていて(彼は庭づくり、ケーキ作りの名人なのです)、あの時はもちろん想像できなかったけれど、細い糸でここまで繋がっていたのだと考えると面白い。
きっと彼もそうだろうと思う。巡り合わせの綱を渡るように時間を紡いで、この南の島で暮らしている直感っぷりには共感するところが大きい。
ほんのささやかな兆しがあって、小さな選択があって、その繰り返しこそが人生なのだろうと思う。
巡り合わせというものがあるからこそ、人と場所や、人と人、そして話の中から、いつも新しい何かが生まれてくるのかもしれない。
お二人が出会って、共に過ごす時間があって、わたしがいて、何気ない会話の積み重ねから結婚指輪のデザインが生まれてくるのはとても自然なことだなのだろう。
これまでのささやかな出来事や、お二人との指輪作りのいろいろを思い出しながら。18k ピンクゴールドをバーナーの火で焼きなまして、じっくりと造形を加えてゆく。
いつもながらの手作業を少しずつふり返っていこう。
まずは最初の第一歩。火を入れてピンクゴールドを加工しやすく柔らかにするのだけれど、
このピンクゴールドが、とても硬い!おそらく結婚指輪作りの素材の中で一番硬いのではないだろうか。
力をいっぱいかけて
しっかりと叩く。仕上がり13.5号と10号を目指して進んでゆく。
お二人ともに手作業の多いお仕事されているので、この硬さが味方になってくれるに違いない。
うっすらと月を眺めて。
このあと光の中に消えていったシジミチョウも。
くるりと2本のリングとなって、今日はここまで。
お揃いデザインの予兆が感じられて、心地よい。