
穏やかな朝だった。
空には雲ひとつなく、夜のうちに冷え込んだのだろうか。
庭先の植物には、久しぶりに朝露が宿っていた。
気まぐれに移ろっているようでいて、季節は静かなリズムを繰り返している。
朝日に照らされ、きらきらと輝く情景を眺めながら、
この春をご一緒してきた、おふたりとの指輪作りの日々を思い返していた。

プラチナリングの造形作業が一区切りを迎えたのは、前日の夜遅くのことだった。
その新鮮な印象を、太陽の下で確かめたくて、朝の澄んだ光の中でリングを眺めることにした。
作業の日々を見守るように咲き続けてくれていた白百合のそばで、ふたつのリングをそっと手に取ってみる。
5月も半ばとなり、強さを増してきた日差しを受けて、プラチナリングが白く輝き、同時に深い影を宿していた。
小さなリングの中を、清流のような滑らかな光が巡っている。
表面から内側へと連続する造形の中で、異なるエレメントが溶け合い、ひとつの表情を形作っていた。

永遠と、祝福と。
おふたりの大切な想いから始まった結婚指輪作りだったけれど、ここに辿り着くまで、何度も試作を重ねてきた。
一緒に宝物を探すようにして出会えたこの造形が、とても愛おしい。
たしかに、わたしの手で作り上げ、お届けするリングではあるけれど、
オーダーメイドを通して、わたし自身が受け取ってきたものも、本当にたくさんあったように思う。
素敵な出会いに、ありがとう。

作業もいよいよ終盤を迎え、
今は、長い間待ち焦がれていた花が咲く瞬間に立ち会うような、どこか澄んだ気持ちに包まれている。
指輪が完成すると、それを合図に、わたしたちの新しい日々が始まっていく。
そのように営みを繰り返していくことは、巡りゆく季節に似ているのかもしれない。
わたしたちもまた、自然の中に永遠に流れゆく時間の中にあるのだと考えると、どこまでも果てしない気持ちに包まれる。
こうして指輪を作りながら、いつもよりも長い時間に想いを巡らせることも、小さな贈りもののように思えた。
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