紫陽花もそろそろ最後である。
梅雨は少しの間一休みをしているみたいだけれど、このタイミングに少し遠くまで、お気に入りの場所まで散歩ができる。
ありがとう、今年もむっちゃ癒された。
小さきものが集まって一つになっている佇まいが好きだ。
少し離れてみると、ポコポコが集まってまた一つの集まりを成しているようにも見える。
紫陽花だったり、シダの葉もそうだと思う、島の暮らしでは増殖するイメージをいつもすぐ近くに見ることができる。
どこまでも続いてゆく繰り返しパターンのような、これもまた小さなリズムの一つなのだろうか。
そしてそれらはいつも目の前に鮮やかな色彩となって現れるのである。
紫陽花、雨、アトリエを囲む木々、ピンクゴールド
屋久島の色彩に包まれてお二人の結婚指輪を作っている。
彼女のリングはその造形をひと段落することができた。
表面に切り込み模様を施したリングには、そのアウトライン全体に緩いカーブを与えた。遠い場所からゆっくりと時間をかけて運ばれてくる波調の長い波のように大らかで滑らかに。
そして紙やすりを手に時間をかけて磨き上げてゆくと、次第にその表面には今まで見えていなかった新しい光沢を見て取ることが出来た。
今まで何度も繰り返してきたはずなのだけれど、そのピンクゴールドの艶かしい色彩に、しばらくの間うっとりと魅入ってしまった。
ある程度の目標地点が決まっていたデザインではあった。けれども自由で、とても感覚的な作業だったように思う。
じっくりと時間をかけることもできた。
形の向こう側にぽっと灯る明かりようなものを生み出すためには、ある地点を過ぎるとそのガイドラインからは離れないとならない、
もしも設計図のようなものがあるとしたら、それは積み重ねられた手の中の感覚にだけあるのかもしれない。
そのようにして生まれてくるものはやはり、一度だけの、お二人だけのラインなのだと思う。
ここからは彼のリングにバトンをタッチすることにしよう。
似ている二つが寄り添って一つになるような、そんなお二人のリングになると素敵だと思う。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
制作編