長く島に暮らし、季節の巡りの中で、移ろう色彩をずっと眺めてきているから、
コンビネーションのリングには、
海や空に広がるグラデーションの印象を感じるのです。
屋久島サウスにヒカンザクラが咲き始めたのは、ちょうど指輪作りを始めるのと同じタイミングでした。
異なる色彩や質感の素材を組み合わせてジュエリーを作るのが好きです。
新しい反応が起こる度に、その中に、生き生きとした表情を感じることができます。
作業机の上に向かうと、手の中では、プラチナはプラチナとして、ピンクゴールドはピンクゴールドとして存在します。
色彩や輝き、耐久性。どちらにも違った魅力があって、
同時に、ままならないこともあるのだけど。
それぞれの個性が際立ったものであるからこそ、一つにしたくなるように思うのです。
響き合うように。補い合うように。
久しぶりに雨模様の一日です。
今は一休み中の屋久島、といった感じですが、この静かな時間も悪くないものです。
お二人が島を訪れる3月には、緑の勢いが凄くなっていることだろうなあ。
春がやってくると、雨も多くなり、小花たちが一斉に咲き始めます。
山々から郷にかけて新緑が萌え出し、世界は躍動し、生命力に包まれていきます。
その勢いについていくことができるよう、しっかりと体力をつけておかなくてはならないのも、
屋久島での暮らしならではかもしれません。
緩やかなカーブをつけて、ざっと削り出した二本のリングは、その表面を慣らすように整えていきました。
彼のリングを削り、その後に彼女のリングを削る。
少しずつ目の細かいヤスリに持ち変えながら、同じ作業を何度も繰り返して行きます。
側面には適度な平面を残し、すっきりとした印象に仕上げました。
そして、表面と側面の造形を整えたあとに、内側をほんの少しラウンドさせながら削り出します。
指と接する部分が柔らかになるよう、丁寧に磨きをかけながら、お二人のサイズにぴったり合うよう調整していくと、
「いよいよここまでやってきたのだなあ!」と感慨深さが込み上げてきました。
お二人の指輪作りも、折り返し地点を過ぎたところです。
細やかな作業の合間には、甘いお菓子で一休みです。
年始の忙しさも、そろそろ落ち着きを見せてきた頃でしょうか。
冬も残り少なくなってきましたが、この寒さもじっくりと味わいたいものですね。
みなさまどうぞ素敵な週末をお過ごしください。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547