Blog

寄り添い、屋久島の季節と響き合うプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

寄り添い、島の季節と響き合うプラチナリング。

満開の紫陽花の中で眺めました。

 

ご結婚おめでとうございます。

おふたりとの出会いを紡いでくれた屋久島に、心からありがとう!

 

 

ご近所に暮らすお二人がアトリエを訪れてくれたのは、長い冬を通り抜け、庭先にハイビスカスが初めて咲いた日のことでした。

春のひかり。屋久島で育む結婚指輪作り。#屋久島でつくる結婚指輪

 

指輪作りが始まる頃、島はいよいよ雨の季節を迎えることになりました。

雨と光の記憶、プラチナリングに宿る輝きについて #屋久島でつくる結婚指輪

 

島で暮らしていると、山や花のような、かたちのあるものはもちろん美しいのですが、

朝の木漏れ日だったり、雨音や潮の香りだったり、

かたちのないものに包まれる喜びを、深く感じます。

 

島に暮らすお二人とは、きっと似たような感覚を、どこかで共有しているのかもしれません。

 

大好きな屋久島の日々の中に感じる小さな印象をひとつひとつ、大切に集めるようにして、ともにデザインを育んできました。

 

光のような、水のような、

喜びに満ちたプラチナリングが生まれたように思います。

紫陽花のそばで、そっと重ね合わせてみる。

一日の始まりを告げるやわらかな光が、プラチナリングをそっと包み込みます。

そこに漂う空気は、どこまでもやわらかい。

リングに施された斜面やカーブが、その光を受けてリズミカルな陰影を作り出しています。

 

とても洗練された光沢仕上げなのに、

そこにどこか、有機的で親密な手触りを感じられるのは、

表面を巡るように施したマット仕上げによるものでしょう。

 

彼の2.2mm幅。彼女の1.8mm幅。

繊細な2本のリングからは、温もりを帯びた息吹のようなものが、胸のずっと奥の方まで届いてきました。

 

島の情景と静かに響き合うリングは、たゆたう水ようのでもあり、ここに咲いたばかりの花のようにも見えました。

 

ありがとう。

木々の合間からは、陽光が降り注ぎ始め、

紫陽花のブルーを通り抜ける煌めきが、眩しかった。

 

リングの内側には、屋久島のシルエットが繋がるように彫刻を施しました。

そして、その隣に添えられた日付とお名前は、お二人が描いたサインなのです。

 

春のアトリエで初めてお会いしてから、大切な想いを分かち合いながらご一緒した日々も、今となっては、かけがえのない思い出です。

 

朝の光のように透き通っていて、愛情がたくさん詰まっていて。

この屋久島で生まれたお二人のリングが、わたしも大好きです。

 

長く山を覆っていた雲が動き始め、そ向こうに、青空が見え始めました。

 

さあ、いよいよ夏がやってきます。

わたしたちも、次のステージへと歩みを進めていきましょう。

 

巡りゆく季節に寄り添うように、ですね。

 

ご結婚おめでとうございます。

この島で、お二人の素敵な日々が、あたたかく紡がれていきますように。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

ふたつのかたち。夏へとつづく朝 #屋久島でつくる結婚指輪

リングの造形作業を無事に終えると、島には夏の気配が漂い始めていた。

空は青く澄み渡り、南国の日差しを受けて、雨上がりの雫が強く輝いている。

春先にお二人とお会いしてから、季節をひとつ通り抜けてきたのだなあと、シャンパンゴールドのリングを眺めながら、しみじみと思い返していた。

 

緑の中にリングをかざすと、葉の隙間を通り抜けた光を受けて放たれる煌めきに、思わず魅入ってしまう。

葉っぱは風に揺られ、影になったり、光に包まれたりを繰り返す。

それに応えるように、シャンパンゴールドが色合いを変え続ける。

光の強さによって、その表情を多様に変化させるのが、ゴールドの素敵な魅力だと思う。

 

相談会の日、アトリエでお二人とサンプルリングを囲んでデザインを考えていたとき、そこにはこれといったルールや方針のようなものは、なかったように思う。

お互いの個性を大切にしながら、そして寄り添いながら、ひと組のリングをともに作り上げてきた。

 

彼のリングは、丸く、柔らかなフォルムに。

彼女のリングには、表面に切り込み模様を施して、リズミカルな印象に仕立てた。

このあと、さらにお互いに変化を加えながら、仕上げ作業を進めていくことになる。

少しずつ異なっていて、それがかえって一層、お揃いの雰囲気を深めてくれているような、

そのようなお二人のリングが、わたしもとても好きだ。

 

雨上がりの早朝。

庭先には、力強い虫の音が響いている。

わたしはリングを眺めながら、その小さな輝きをお二人の印象に重ね合わせている。

散歩から帰ってきたお隣さんが、「おはよう、暑いねー」と言いながら、日傘をさして前を通り過ぎていった。

今日も、島の何気ない日々が穏やかに営まれてゆく。

その中で、お二人のリングもまた、たしかに育まれてゆくのだった。

制作編

静かなひかりとシャンパンゴールド。手の中でリングを育むこと。#屋久島でつくる結婚指輪

静かなひかりとシャンパンゴールド。手の中でリングを育むこと。#屋久島でつくる結婚指輪

重たい湿度が、島をすっぽりと覆い尽くしている。

それでも、雲の合間から陽光が差し込むと、山々の稜線が輝き出し、汗ばむほどの暑さを感じられた。

 

今日も、気温が高くなりそうだ。

そう考えながら、早朝から作業机に向かっていた。

 

薄暗くしたアトリエで、酸素バーナーにカチリと火を灯す。

造形がひと段落したばかりのシャンパンゴールドのリングを炎で包み、真っ赤になるまで温度を上昇させていく。

まずは最初の第一歩だ。

 

金属は、焼きなますと柔らかくなり、叩いて圧力をかけると、再び固くなる。

そのコンディションに変化を与えながら進めてゆく工程は、生き物と向かい合っているかのようで面白い。

 

シャンパンゴールドが緊張を解くように、少し柔らかくなったところで、リングに緩やかなカーブを与えていく。

鉄の枠に当て、木槌を使って、コンコン。

芯金に通し、円形を整えるように、コンコン。

彼のリングには、少し強めのカーブを。

彼女のリングには、なだらかなカーブを与えていく。

 

リングに滑らかな流れのようなものが宿るように、

手の感覚だけを頼りに、造形を進めていかなくてはならない。

 

理想とするフォルムの美しさは、いつも島の自然の中に眺めている。

ゆっくりと、少しずつ、繰り返す変化を前にすると、

リングを育んでいるような気持ちになる。

 

一通りの作業を終え、リングのシルエットを窓際に差し込む光の中で眺めた。

シャンパンゴールドの穏やかな色彩が、島の緑と静かに響き合っている。

外では、また雨が降り始めていた。

しとしと雨音の中でリングを眺めていると、そのフォルムが心地よくて、湿度の中にすっと溶けていきそうな気がした。

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

 

制作編

ふたつのリングがひとつになるとき #屋久島でつくる結婚指輪

ふたつのリングがひとつになるとき #屋久島でつくる結婚指輪

リングの輪郭が、少しずつ明瞭に浮き上がってきた。

シャンパンゴールド、2.5mm幅。

お揃いのスタイルではあるけれど、それぞれのリングに、細やかな個性を宿らせるように作り進めている。

 

 

シャンパンゴールドに刻む、海のリズム。

大好きな海でつながる結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

お二人とは、春のアトリエでお会いすることができました。

雨のち晴れ、ハイビスカスと新しい緑と。

海とシャンパンゴールド 大切な想いで繋がる結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪 

 

オーダーメイドでジュエリーをお届けしていると、そのデザインはまるで小さな分身のように、それぞれの人たちに、どこかとても親しい空気を纏って生まれてくるように思う。

 

とくに結婚指輪作りの場合はそうかもしれない。

日々の暮らしに寄り添い、お二人の大切な想いを伺いながらデザインを形にしていくと、ひとつひとつに繊細な個性が宿る。

けれどもそこに、確かなつながりが芽生えてくるのがとても興味深い。

 

その瞬間を間近で見守っていると、とても幸せな気持ちに包まれる。

偶然のようでいて必然を思わせる出来事に触れ、お二人が出会いこれまで育んできた時間を、想わずにはいられない。

 

これからタッチを重ねるごとに、少しずつ、それぞれの個性が生まれてくる。

そして、ふたつのリングは、やがてひとつになる。

 

リング表面の削り出し作業がひと段落をし、次は内側の造形に取り掛かることにした。

ヤスリを当て、内側を丸く、なだらかなカーブに整えていく。

左側のエッジを一周削り、同じ強さで右側も削る。

僅かに角度を変化させつつ、もう一度左をなぞりながら一周。

浜辺に打ち寄せる波のように、均一なリズムでタッチを繰り返していった。

 

こうした単調な反復作業が、案外と好きだ。

金属を削る小さな音が響くアトリエの中で、心がすっと平になっていくのがわかった。

 

庭に白いハイビスカスが咲き始めたら、夏がもうすぐそこまでやってきている合図。

 

お隣さんから、畑で採れたばかりのスモモをいただいて、さっそく少し食べてみたら、まだまだ酸っぱすぎた!

気がつけば、また同じことをやっているような。

毎年のことのはずなのに。

忘れていた季節の驚きにふと立ち止まる。

スモモはもう少し時間をかけて、甘さが深まるのを待つことにしよう。

ジュエリー作りも、島の時間に寄り添いながら、ゆっくりと育んでいこう。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547