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雨とナノハナの指輪。やわらかな日々の記憶。#屋久島でつくる結婚指輪

小さな花が集まって、包み込むように。少しずつ、リングが形になっていく。

菜の花は、集まり咲く感じが、とても好きだ。

作業机に向かい、イエローゴールドの小さな花を手にしていると、こころが癒されていくのがわかる。

 

寒さがまだ少し残る頃。

海風にゆらめく黄色い光。

雨上がりのしずくを大切そうに抱いて、きらめいている。

小さなミツバチが集まってきて、賑やかな羽の音が聞こえてくる。

 

島が新しい季節を迎える、祝福のような響きが、胸のずっと奥の方から広がってきた。

 

細いゴールドリングの上には、3つの花を、気持ちの良いバランスで並べた。

ここはとても感覚的なところである。

 

花と花の隙間には、小さなゴールドの粒を散りばめてゆく。

集まる花々。雨のしずく。

 

リングに何度も火をあて、温度を上昇させながらの作業だったので、金属が溶けてしまわないよう、細心の注意を払わなくてはならなかった。

 

無事にすべての接続作業を終え、一息をついたあと、初めてそのフォルムと対峙することになる。

有機的なバランスを宿した、やわらかな佇まいに仕上げることができたように思う。

 

そして、これまで重ねてきた足跡を、きれいにならしていくように、ゴールドの表面にヤスリをかけていくところだ。

 

窓の向こうでは、しとしとと雨が降り注いでいる。

庭先では、ピンク色のハイビスカスが咲き始め、南国の夏が、いよいよ訪れることを告げている。

そういえば、ときおり暑さを感じる日も、少しずつ多くなってきた。

このリングが完成して、海の向こうにお届けする頃には、きっと、この長い雨も、終わりに近づいているのだろう。

 

お二人との出会いと屋久島が紡いでくれた、一度だけの指輪作りだったと思う。

素敵なご縁に、ありがとう。

 

まるで水の中で過ごしているように感じられる、潤いの日々を、なんだか少し名残惜しく感じながら。

深まる緑に包まれて、お二人の婚約指輪を作っていた日々を、愛おしく思いながら。

 

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

やさしさで紡ぐ婚約指輪。島で生まれる花のかたち #屋久島でつくる結婚指輪

やさしさで紡ぐ婚約指輪。島で生まれる花のかたち #屋久島でつくる結婚指輪

雨の多い日々の中に、ときどき晴れ間がやってくる。

そのタイミングを見つけては、少しだけ遠出をしてリフレッシュできるのが、最近の楽しみになっている。

朝の5時前には空が明るくなり始め、夕暮れ時には、19:00を過ぎても海に入っていることもできる。

そしてまた、深い雨が降り続く日々が戻ってくる。

 

優しくて、そして力強く繰り返される島のリズムに、息を合わせるようにして、お二人の婚約指輪作りを進めていた。

 

お花をモチーフにしたジュエリーを作るときは、実物に近い繊細な仕上がりを意識することが多いのだけど、今回のお花は、ツユクサよりも二回りほど小さいくらい。

リングも、その小さなお花に合わせ、細いものを組み合わせてゆく。

島の暮らしの中に出会う植物たちのやわらかさや、しなやかな佇まいを、形にすることができれば、何よりも嬉しい。

 

婚約指輪は、どちらかといえば、フォーマルな印象が強く、上質な仕上がりを目指してお作りしているのだけれど、植物からインスピレーションを受けたジュエリーには、日々の暮らしに馴染む、親密さのようなものがある。

ちょっとしたお出かけの日にも、そしてもちろん、何気ないいつもの日にも。たくさんの場面で寄り添ってくれると思う。

植物や金属に感じる、包み込むようなやさしさが、とても好きだなと思う。

 

いくつものパーツを組み合わせながらリングをかたち作っていく。

静かで、デリケートな作業が続いている。

 

ガスバーナーの炎に包み、イエローゴールドをつなぎ合わせ、丁寧に磨きをかけ、また火を入れる。

アトリエでは、とてもスローに、単調なリズムが繰り返されていく。

 

窓の向こうから、また雨の音が聞こえてきた。

朝の海の余韻が、まだ体の奥に残っている。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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2.3mm and 2.6mm round in platimnum with diamond and alexandrite #屋久島でつくる結婚指輪

material: platinum, diamond
size: 1.2mm and 2.3mm

Delivery time is within 3 months.
Made by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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屋久島のひとひらをまとう。杉の葉模様のプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島のひとひらをまとう。杉の葉模様のプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

柔らかな若葉をまとった杉の木の下で、お二人の結婚指輪を手に取ると、

光沢仕上げのプラチナが、緑に包まれた情景を映していて、

屋久島からこぼれ落ちたひとしずくのように見えました。

 

 

赤ちゃんと一緒に、ご家族でアトリエにお越しいただいてから、もう半年ほどが経ちました。

島リズムの、ゆっくりとしたオーダーメイドにお付き合いをいただき、ありがとうございます!

ご家族と過ごす幸せな日。2025年最初の相談会でした! #屋久島でつくる結婚指輪

 

あれから冷たい冬の季節を超えて、お二人の結婚指輪作りが始まったのは、ぽつぽつとあかりが灯るように、島じゅうに新緑が芽吹き始めた頃でした。

雨の日に眺めるプラチナリングのきらめき #屋久島でつくる結婚指輪

 

この島に暮らしていると、ときおり、どこか強い磁力のようなものを感じることがあります。

もちろん、すべての源は森の美しさにあるのだと思いますが、

訪れる人たちを、ときに、とても強く魅了してしまう。

 

そのような人たちとの出会いにもまた、まるで仲間と出会えたような、特別なつながりを感じてしまうのです。

 

空気に満ちる、潤いを帯びた響きに癒されながらお作りした、お二人の結婚指輪です。

身にまとうのは、お二人が大好きな、屋久島のひとひらなのかもしれません。

 

つけ心地柔らかなラウンドシェイプのプラチナリング。

シンプルだからこそ、内側のデザインには特にこだわりました。

 

リングの内側には、杉の葉がアレキサンドライトを大切に抱くように彫刻されています。

リングを重ね合わせてみると、その二本の葉が、ぴたりと繋がりました。

 

そして、その両脇にはお二人のお名前と日付を。

永遠に変わることのない、大切な想いが印として刻まれています。

 

小さな森の、木々の隙間からこぼれるやわらかな光がリングに届き、

手の中で角度を変えると、アレキサンドライトの透き通った青緑色がきらりと輝きます。

 

小さなリングの中に刻まれた、お二人の物語に思いを巡らせ、

どこまでも大きな、幸せな気持ちに包まれました。

 

生まれたての緑色が、とても眩しかった!

 

いつもの散歩道では紫陽花が咲き始めています。

ぽこぽこと、道沿いに散りばめられた色彩に心躍る季節です。

 

六月の雨のしずくのような、朝の木漏れ日のような。

彼女のリングの表面には、一粒のダイヤモンドをセットして。

いよいよお二人のもとにお届けする時がやってきました。

 

まるで、島から届けられたような出会いでしたが、

わたしにとっても、大切な指輪作りだったように感じています。

 

ご結婚おめでとうございます!!

ご家族の未来が喜びに包まれますように。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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