青く輝く蝶を見たのは、久しぶりだった。
屋久島サウスでは、ここのところ晴れの日が続いていて、日差しも強くなってきている。
生垣のブーゲンビリアは色鮮やかで、光と影のコントラストが気持ちが良い。
庭先に出てみると、南国独特の重たい暑さが感じられる。
涼やかな木陰に佇み、これから始まる制作に向けて、心を整えていた。
手の中にあるプラチナが、緑の中、静かで、涼やかな煌めきを放っていた。
足元のシダの葉を眺める。そして木々を見上げ、緑の隙間からこぼれ落ちる光を体いっぱいに受け取って、アトリエに戻り、さっそく作業に取り掛かることにした。
プラチナをハンマーで叩きながら、くるりとリング状に整えていく。
コンコンと、金属と木がぶつかり合う音が、アトリエの中に響く。
はるか昔からずっと変わることのない、手作業の音だ。
東京に暮らすお二人から初めてご連絡をいただいたのは、島で桜が咲き始めた春先のことだった。
あれから、海をこえて何通ものメールを交わし、ビデオ通話でお会いすることもできた。
お二人が描いてくれた指輪のイメージからは、あたたかな想いが溢れていて、胸に響いた。
気がつけば、もう2ヶ月ほどをご一緒していることになるのか。
7月のご入籍に向けて、指輪を完成できるように、ともにオーダーメイドの日々を歩んでいる。
くるりと巻かれたプラチナを、作業台の上に置いて眺めてみると、
ほんのわずかだが、お二人のリングの姿を、たしかにイメージすることができた。
工程に要する時間は、数日といったところかもしれない。
けれど、これまで積み重ねてきたデザイン作りたったり、お二人が長く理想を育んできた日々を思うと、一つひとつのタッチが、とても大切なものに思えてくる。
お二人と、わたしと、屋久島の季節が出会い、ここに生まれた、一度だけの結婚指輪作りだ。
じっくりと丁寧に、そして思い切りよく、造形を重ねていきたい。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547