ご結婚10周年の記念に、ペアのネックレスをお作りしました。
イエローゴールドに浮かぶ、夜光貝の月。
“月の満ち欠けネックレス”
ふたつのリズムが寄り添い、静かに響き合いました。
「ふたつでひとつになるようなイメージで。
大好きな屋久島で生まれた夜光貝を使っていただけると嬉しいです。」
おふたりからオーダーメイドのご相談をいただいたのは、ちょうど去年の秋のことでした。
「夏の屋久島で、直接お受け取りいただけるよう、お作りいたしますね」
そのような楽しみを分かち合いながら、共に歩んだオーダーメイドの日々でした。
おふたりの大切な想いをお聞きしたとき、
すぐに、この“月”のイメージが思い浮かびました。
そのときのことは、今でも鮮明に覚えています。
まるでそのデザインが、ずっとこの日のために、大切に保存されていたかのように。
不思議なくらい、自然に。
彼女のペンダントは、少し小さいイエローゴールドの丸に、
三日月をかたどった夜光貝を添えました。
新月から満ちてゆく、はじまりのイメージです。
そして、彼のペンダントは、ひとまわり大きな丸に、
満月がゆっくりと欠けていく、穏やかな時間を重ねました。
添えたのは、オムレツのようなかたちの夜光貝です。
それぞれは、それぞれの輝きを宿す、ただひとつの月であり、
同時に、異なる角度から眺める、同じひとつの星でもあります。
夜光貝とゴールドが纏うそのやわらかな光は、
きっと、お互いの歩みを照らし合う、あかりのような存在であるのかもしれません。
ネックレスをそっと手に取って、波打ち際を歩いてみる。
丸いゴールドの大きさは、およそ8mmと12mm。
繊細なフォルムながら、手のひらには、たしかな重みが伝わってきます。
夕暮れ時の陽ざしを受けて、三日月の隣にセットしたダイヤモンドが強く煌めいていました。
8月の海水は驚くほどに温かくて。
ときおり強く吹く海風が、ふたつのペンダントを揺らし、
そのたびに角度を変えて、夜光貝が新しい表情を見せてくれる。
その時間がとても美しくて、まるで夢の世界にいるようでした。
島に暮らしていると、ときおり空気の中に、
自然の神秘のようなものがふっと漂うのを感じることがあります。
そのような美しい瞬間を分かち合うことができる誰かがいると、日々は癒しに包まれます。
月は今日も、形をとどめることなく、
静かな鼓動を繰り返しています。
私たちも、歩み続けていかなくては、ですね。
そしてその癒しが、やがて一滴の雫となり、
小さな波紋を描きながら、どこまでも広がっていくとしたら、
それはとても素敵なことだと思います。
楽しいジュエリー作りをありがとうございました
夢の続きは、またアトリエで。
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