ユリの開花が最盛期を迎えたのは、いつもよりもずっと早く梅雨が島に訪れた、ちょうど前の日のことでした。
夕暮れ時の散歩道で、西陽を浴びて透き通るような白が、とても美しくて。
「今年もありがとう!」と、
大好きな季節に、またこうして巡り会えたことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
花の命や、月の満ち欠けのように、
自然の中に出会うものには、常に儚さが寄り添っているけれど、
その刹那が、よりいっそう美しさや深い感慨をもたらしてくれるように思うのです。
刹那の中に永遠の美しさを感じるのは、
あるいは、愛に似た時間感覚なのかもしれません。
イエローゴールドと夜光貝でかたどる月。
お二人のご結婚10周年を記念するネックレスもまた、
その瞬間のインスピレーションを大切に作り進めています。
その都度適切なタッチを加えながら工程を積み重ねていく。
それはまるで、広い海を旅するような、自由でのびやかな時間かもしれません。
丸いイエローゴールドのプレートには、夜光貝をしっかりと固定するため、イエローゴールドの線で細い爪を作ることにしました。
星の煌めきのように、小さく繊細に。
全体のバランスをとりながら、三本の爪を接続していきます。
そして、月の角度を定め、チェーンを通すマルカンを組み合わせます。
ここは、少し迷ったのですが、できる限りシンプルに仕上がるように、チェーンがちょうど通るくらいの、小さめのものを一つ選びました。
イエローゴールドのプレートを綺麗に磨き上げたあと、嬉しくなって夜光貝を組み合わせてみると、
ここでまた、新しいひらめきが生まれました。
うん、きっと良くなる。
確かに、しっかりとデザインを描いて、イメージを共有しながら進めてきたオーダーメイドではありましたが、
ここにきて初めて、あるべき着地点のようなものを、クリアに思い描くことができたような気がしています。
偶然のようでいて、必然にも思えるこの出会いに、
素敵な予感が膨らんでいくのを感じながら。
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制作編