オーダーメイドの結婚指輪作り
お二人とコミュニケーションを重ねて、
デザイン作りからサンプル作り、本番の制作が終わって、
約3ヶ月ほど。
いよいよお二人に指輪をお届けして指輪づくりが終わり。
となりますが、
終わりはまた始まりでもありまして。
このあと続くお二人の指輪のある暮らしの中で、
実は時々、指輪のメンテナンスやお互いの近況のお話をさせていただいているんです。
「お久しぶりです。最近はどうですか?」
なんて、連絡を取り合いながら、
自分で作ったジュエリーを実際に手にとってメンテナンスをさせていただけるのは、やっぱり作り手としても嬉しいところ。
久しぶりに指輪に出会って、お二人との指輪作りのいろいろを思い出したり笑
ずっと長くつける結婚指輪ですから。
オーダーメイドならではのお付き合いがあります。
上のゴールドリングが数ヶ月前にお届けしたマリッジリング。12.5号。
下にあるシルバーのリングは同じデザインのサンプルリング。12.0号(サイズ調整しました)
サンプルリングは
お二人と一緒に作り上げたデザイン、サイズ、着け心地などを実物でお試しいただけるように、いつも本番の制作前にシルバーでお作りしています。
「すみません!サンプルでサイズ合わせたのですが、あれからいろいろあって痩せちゃって!」
とご連絡をいただいたのは結婚指輪をお届けして1ヶ月ほど経った頃でした。
わたしたちも有機的な存在ですから。
もちろん、こんなこともあります。
「お久しぶりです。お任せください!お二人のサンプルリングが手元にありますので、そちらのサイズを小さくしてお試しいただけるよういたしますね」
と、わたし。
なんか凄くリズムよく進む笑
きっと、お二人とは
数ヶ月間、時には毎日のようにメールやお電話でお話していたからだろう。
屋久島と愛知県、海を越える指輪作りだったけど、
気がつけば、お二人がいつも近くにいるような存在になっていた。
本番でお届けしたリングは12.5号。
12.0号にリサイズしてお試しいただいたサンプルがちょうど良い感じとお伝えいただいたので、
こちらも同じ12号に調整することに。
サイズを小さくする場合は
リングを短くカットして、
つなぎ合わせる。
とてもシンプルな作業ではあるけれど、
次も心地よくつけていただきたくて!
綺麗に仕上がるように集中マックスにしながら
リングに糸のこの刃を入れた。
そして、もう一つ大切にしたことが
お二人の指輪の内側に刻んだ刻印と、セットしたダイヤモンドのこと。
ここは完成当時と全く同じく
美しい文字と美しい輝きのダイヤモンドのままでお返ししたかった。
その部分だけ火が回らないように気をつけながら、
酸素トーチを使って、リングをつなぎ合わせる。
それから接続部分を磨き直して、
全体も磨き直して、
アウトラインの造形を整え直して、
12.0号にリサイズ完了!
そして、ほっと一息笑
よく見るとリングの表面には、
もう、小さな傷がつき始めていて
ああ、いよいよお二人の暮らしも始まったんだなあと考えていた。
これからも小さな傷、時には大きな傷がつきながら、
お二人とともに時間を過ごしてゆくのも素敵だと思う。
そして、時にはわたしが傷を磨き直してリフレッシュしてみよう。
タイミングを見て、お二人の近況も聞いてみよう。
彼のリングと合わせると、
なんとなくお二人のことが思い出され、
リングの向こう側、空のずっと向こう側をぼんやりと眺めた。
出会い編