いつもの散歩道ではハマユウが一年ぶりにその姿を見せている。
屋久島サウスは梅雨明けを間近に控え、光のコントラストが確実に強くなってきている。
小雨混じりの薄暗い緑の中で、白く細長い花びらが幻のように淡く輝いていた。
海辺に近い場所では、この時期になるとハマユウが咲き、すらりとした白い百合も咲く。
球根を持つ植物なので、いつもの場所で、「久しぶり!」みたいな感じで花を咲かせるのも、なんだか友人に会うみたいで嬉しい。
島暮らしの中で、とても思い入れ深い花々なのである。
アトリエでは、プラチナの薄い板を糸鋸で切り抜いて、1cmにも満たないくらいの花びらを作っている。
切り抜いたプラチナは、そのエッジを精密ヤスリで丁寧に整えた。
同じくらいの大きさのものをもう一つ、微妙にアウトラインを変えながら造形を施した。
花びらをかたどった2枚の薄いプラチナ板は、酸素トーチの炎で赤白くなるまで熱した。
こうするとプラチナは柔らかくなってくれる。
叩いたり曲げたり重ね合わせたりと、これから行う作業がとてもやりやすくなるのだ。
プラチナでかたどる小さな百合のネックレス作りが始まっている。
意図したわけではないのだけれど、夏の百合が咲く頃に出来上がりそうなのも素敵なタイミングのように思う。
長い間お待ちいただきましてありがとう!
きっと、もう少しで島は夏に包まれるだろう。
窓の向こうでは、スコールを思わせる強い雨が降ったりやんだりを繰り返していた。
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