島に暮らしている今となってはいつものことなのだけど、
アトリエの窓の向こうに移りゆく季節を眺めながらジュエリーを作っています。
これは自分でも意外だったけど、ずっと同じ形のはずなのに飽きることもなく、山々の稜線をただただ眺めているのがとても好き。
ここでは山々が信仰の対象になっているのもよくわかる。
わたしたちにとってはいつもおおらかに包み込んでくれている大切な家族のような存在なのです。
ふと月の満ち欠けを気にしたり。
自然のリズムの中に暮らしてジュエリーを作ることはずっと憧れでした。
まだ全然ジュエリーを作っていない頃から、大阪に暮らしている頃から、インディアンジュエリーやハワイのジュエリーが大好きで集めていたから、その背景にはいつも大地や海の情景のようなものを見ることができて、「自然を感じながら作る」ということはいつの間にか当たり前のことになっていたのかもしれません。
あの頃の根拠のない信頼と言いますか 笑、心斎橋の路上で不思議なくらい力強く思い描いていたから、こうして屋久島に出会うことができたような気がしています。
水の流れのように、巡る季節のように。
お二人にお作りしている結婚指輪もまた、この島の暮らしの中に生まれたデザインだなと思います。
ここで出会った感動をお二人と分かち合うことができると何よりも嬉しく思います。
指輪作りはそろそろ終盤へ。
大切な工程へと差し掛かってきているので、まだ暗いいうちから「よしっ!」と集中して作業机に向かいました。
造形がひと段落したリングは再びガスバーナー炎に包んで真っ赤になるまで温度を上げる。
こうするとゴールドとプラチナの組成がふわりと緩んで次の加工がやりやすくなるのです。
リングが柔らかくなったところで、木槌で叩いて形状に変化を与えていきます。
鉄の台に当てて、金属の声を聞きながらながら、少しずつ何度も細やかなタッチを繰り返しました。
小さなリングを作るのに、こんなにもたくさん大きな道具を使うのだけど、これらは昔からずっと変わらないシンプルなものばかりなのですよね。
コンコン、とアトリエに響く音も大好きです。
小さな南の島で、昔ながらの手作業ではあるけれど、
今だからこそ大切にしたいことがあるように思います。
それは時間の美しさのようなものなのかもしれないな、と最近では思うようになりました。
気がつけば、出来上がりまであと少しとなりました。
喜びを分かち合いましょう。
これから磨き仕上げをして、刻印を入れて、
できれば島の情景の中で写真を撮ってお二人にお届けをしようと、
胸が高鳴ってきています。
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