窓の向こうに山々を眺めることができると、むっちゃ助かる。
夜明けからずっとアトリエに篭って作業に没頭できた。
小さなゴールドの輪をつなげて一つにするエタニティーリング作りは季節の移ろいのように、ゆっくりと着実にその工程を進めています。
たしかに森の美しさや神聖さが特別な屋久島だったりするけれど、
案外、暮らし始めて大切に感じるようになったのは、
いつもの日常に出会う何気ない情景のように思う。
窓を開けた時に包まれる冷たい空気が気持ちよかったり、
星空に救われたり、
散歩道に花が咲いたり、
細やかな出来事を愛おしく思えると日々は喜びに包まれる。
島で出会う小さな感動に癒されながら、今日も作業机に向かっている。
連ねたゴールドの輪っかは鉄の芯棒に当てて、プラスチックハンマーで叩いて丸く整えた。
コンコンと極極軽い圧力を与えていく。
繊細なフォルムを崩さないように気をつけなければならない。
ようやくリングらしい形になってきて、それを作業机の上に並べて眺めるのが楽しい時間かもしれない。
ピンセットで裏返しにしたり順番を変えたりしながら“馴染む”バランスが生まれるように試行錯誤した。
彼女のサイズに合う長さを見込んで輪の個数を整えた。
輪と輪の接続部分の強度を高めるために今回初めて挑戦したアプローチもうまくいっているように思う。
これならずっとつけたままで過ごしていただけるだろう。
「毎日指輪をつけていたいのです!」指輪作りに彼女がそう言ってくれたのを今でも嬉しく覚えている。
日々に出会う星空や花や同じように、このリングもまた喜びの一つになってくれるだろうか。
最後の火入。
いつになっても背筋が伸びる作業である。
作業机の照明を落として大きく深呼吸をする。
バーナーのコックを搾り炎の温度を上げた。
かなりキューッとした作業だったように思う。
ゴールドの輪の接続作業をひと段落させて庭先に出るとフワリと和らいだ。
その落差が大きくて自分でも驚いてしまう。
夕暮れ時が近くなって窓の向こうに眺めた山々。
今日はいったい何度眺めたのだろう。
いつもありがとう、このおおらかで澄み切った空気感のようなものも一緒に届きますように。
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