屋久島サウスのアトリエです。
芽生え始めた若い緑を窓の向こうに眺めながら、お二人の結婚指輪を作っている。
始まりのムードに包まれる春の指輪作りはいつもワクワクする。
神戸に暮らすお二人とはお電話をしたり、サンプルリングをお送りしたりしてデザイン作りを続けてきた。
海を越えてお付き合いをいただきましてありがとうございます!
一緒にイメージしたデザインがいよいよ形を持つことが嬉しい。
お二人のご入籍の日までにお届けできるように指輪作りを進めているのだけれど、その祝祭感がすごい。
大切な日に少しだけご一緒できているようで、わたし自身も幸せになれる。
おめでとう、ありがとう、
今日もお二人と交わす言葉に癒されながら作業机に向かっている。
お二人のために配合をしたプラチナとイエローゴールドは炎に包み、高温の中でその両端をつなぎ合わせた。
くるりとリングの形になると、いよいよだな!という感じになる。
手前のリングが彼女のもので、リング幅に太いところと細いところがあるのがわかるだろうか。
リング幅に抑揚をつけて仕上げると軽やかな動きを感じることができるのだけど、お料理の下拵えをするみたいに最初のうちにしっかりと準備をしておく。
一方、彼のリングはシンプルに、より丈夫さのある均一幅である。
素材もそうだけれど、実はデザインも少しずつ違っているので、
しっかりとした繋がりを感じられるように細部を調整することがお二人の指輪作りのポイントだったように思う。
あるいは少しずつ違っているからこそ、親密になることができるのかもしれない。
二つが出会って初めて一つになるようなリングの姿を思い描きながら。
朝の海では久しぶりに虹を見ることができた。
海面から天に掛けられた太い柱のような、色鮮やかで力強い光だった。
3月になってハイビスカスも咲き始めた。
屋久島というと森や緑がもちろん美しいのだけど、
島の南部ならではの温暖でゆるやかな雰囲気が好きだ。
実は温泉もあるし、いくつかのビーチもある。
ハイビスカスはこれから12月ごろまで咲いているので、なんと10ヶ月近くも咲いていることに!
さて、まずは彼のプラチナリングを手に取って、鉄鋼ヤスリを使ってそのアウトラインに造形を加えていく。
スクエアシェイプのデザインではあるけれど、しっかりと全体を削り落とす。
側面を完全な平面にし、リングの幅を2.3mmに合わせる。
彼女のリングと繋がりが生まれるように、表面にはわかるかわからないほどのごく緩やかなカーブをつけておく。
まだ角張ったプラチナのその奥には理想の形状が見えている。
私たちが一緒にイメージした結婚指輪の姿がここにある。
指に直に当たるところは優しくあって欲しいところだ。
最後にリングの内側の部分を、丸いカーブを描くように思い切りよく削り落とした。
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