朝の月は、山のすぐ上にあった。
まだ夜明け前の5:00くらいなのに、もう随分と明るい。
海まで向かう途中、車を停めて外に出てみると、世界は青く、早朝の涼やかな空気に包まれていた。
小さな森を抜けて海に出る。
木々の隙間から波音が通り抜けてくる。
夏の1日の始まりである。
そして、朝の波に乗りアトリエに戻ると、時計の針はちょうど7時を差していた。
久しぶりに降った雨を合図にするように、
大阪に暮らすお二人にお届けする結婚指輪を作り初めている。
7月の相談会では、婚約指輪をお渡しすることもできました。
婚約指輪をお届けして、ご入籍をされて、今は結婚指輪を作っている。
新しい暮らしを始めるお二人とご一緒する結婚指輪作りは、いつも幸せが溢れている。
作業机に向かっていると、これから何十年も続く未来を感じられる。
あるいは、それは金属が持つ時間と近しいのかもしれない。
希望のイメージに包まれながら、静かで、力強く輝くシャンパンゴールドを手にしている。
ガスバーナーの炎で包み、柔かくしたシャンパンゴールドは、鉄の芯金に当てて、くるりとリング状に形成をする。
コンコン、と木槌で叩きながら、少しずつ形を整えていく。
そして、再び火を当てて、リングの両端をつなぎ合わせた。
昔から変わることのないリズムが、今もまだここにある。
作業中はずっと黒ずんでいたリングだけど、1日の終わりにはその美しい色彩を見ることができた。
7月のアトリエで、お二人が手に取り、気に入ってくれたシャンパンゴールドだ。
夕暮れ時の光みたいに柔らかな輝きを、日々の暮らしに中に感じていただけるように、お二人のリングは限りなくシンプルなフォルムに仕上げていきたい。
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