目を覚ますと冬の気配がした。
窓の向こうには薄い月が浮かんでいたし、遠くから波の音も聞こえてきた。
それにしても12月も後半に差し掛かると、一日を大切に感が半端ない。
それが心地よくもあるのだけれど。
今年の満月はあと一回。
月を眺めて暮らしのリズムを図るのは島暮らしならではなのかもしれない。
大切な記念のジュエリーはシダの葉をモチーフに、ご結婚25周年の結婚指輪を作っています。
「ハワイではシダの葉はパラパライと言って、レイなどを作り、神さまに捧げるもの」と教えていただいたのだけれど、なるほど。
たしかに屋久島に暮らしていると、植物はもちろん、海も山々も、水や風にまで息吹のようなものをすぐ近くに感じているような気がする。
自然と一つになれる優しいフィーリングだと思う。
さてさて、
アトリエではいよいよ本格的な作業が始まることに.
サイズやボリューム感、リングの土台を決定づける大切な段階であるので、ここは注意深く進めていかなくてはならない。
プラチナとシャンパンゴールドはくるりとリングにする前に炎に包んで柔らかくしておいた。
リング状になったゴールドはお二人のサイズに合わせてその両端を糸鋸でカットする。
0.1mm単位での調整なので表面にラインを引いたガイドラインをしっかりと守るように、かなり慎重になる。
ガリガリと指先から、そして手の中に響いてくる金属の感覚が心地よい。
なかなかに硬い、けれども思い切り曲げたり糸鋸で切削したりできる柔軟さが金属の素晴らしいところだと思う。
シャンパンゴールドの片側を切り終えると、もう片側を、そしてピンクゴールドのリンングに交代して片側を、という具合で交互にタッチを施していった。
切断面を綺麗に整えてぴたりと合わせることが技術的なのだけれど、こういうところを美しく仕上げるのは職人として純粋な挑戦であり喜びでもある。
ジュエリーをお届けするオーダーメイドではあるけれど、与えてもらっているものが本当にたくさんあると思う。
作業の合間には少し遠出をして島の東側にある小さな森をドライブした。
シダの葉がむっちゃ大きい!
一日の終わりには作業台の上に二つの端正なフォルムを眺めることができた。
シャンパンゴールドとピンクゴールドの色彩が際立ち始めてきた。その調和も美しい。
隣り合わせに並んでいる佇まいを眺めていると、2本のリングサイズはこんなにも違っていて!
なんだか心がほっこりとした。
25年か。出会うことって本当に素晴らしいと思う。
金属も植物にもそれぞれの時間があるけれど、今は私たちの時間をとても愛おしく、かけがえのないもにの感じている。
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