屋久島ノースの海岸には夜明け前にやってきて、1日をここからスタートすることにした。お気に入りのサンゴ礁の海だ。この季節は陸に暮らしていても水の中のように湿度を感じるし、でもやっぱり水の中に入ってしまうとホッとしたような心地よさに包まれる。海を囲む緑も深く、しずくを装って喜んでいるようにも見えた。
なんだか島の一部になれたような気がした1日の始まり。屋久島 日々の暮らしとお二人の結婚指輪づくりと。
雨の合間には窓際でアウトラインをチェックしておく。
プラチナリングは丸く柔らかに。おそらく世界中で最も愛されているフォルムだろう、普遍的なラウンドシェイプのリングだからこそ、作り手のフィーリングだったりタッチがわかりやすく映し出される。白いシャツとかチーズケーキみたいな感じだろうか。その作り手の“顔”みたいな作品なのである。私の場合はお二人と一緒にオーダーメイドする結婚指輪なので、私たちの“顔”ということにもなるのかも。お二人とはここまで数ヶ月かけてメールやサンプルリングを交わしながらデザイン作りを重ねてきた。o.1mm単位のなかなかなれない作業にお付き合いいただきましてありがとう!!
天気雨の空を見上げて抜けるクワズイモのトンネル、最高に気持ちいい。多様な緑に囲まれた島の暮らし。お二人の結婚指輪もまた島の植物がテーマになっている。
窓際で彼女のリングと並べて比べてみると、こんなにも雰囲気が変わっていた!同じ素材のプラチナなのに、手作業を重ねてゆくと、息吹が吹き込まれて、手触り感ももちろん有機的だった。
リングは光沢を帯びて仕上げる予定なので、その佇まいも想像することが出来てうっとりとしてしまった。
この先何十年もずっとお二人の暮らしに寄り添ってゆくのだろうな、と少し先の未来を思った。
なかなか素敵なフィーリングだった。
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制作編