屋久島の森に咲く白い花をモチーフに、プラチナリングを作っている。
小さな花と同じくらいのサイズに仕立てていくパーツは、ひとつひとつが驚くほど繊細だ。
まずは、プラチナの細い線を組み合わせ、石枠を形づくっていく。
まるで本物の花を手にとるように、そっと造形を重ねていた。
そこにセットするのは、ひと粒のダイヤモンドだ。
清らかな透明を纏うその輝きは、あのとき、あの森で出会った花のイメージそのものである。
実のところ、この白い花に出会ったのは、ほんの数度きりしかないのだが、
こうして作業机に向かっているだけで、登山道に漂っていた甘く、瑞々しい香りの記憶がふわりと蘇ってくる。
ときには胸を高鳴らせ、
ときには心を柔らかに包んでくれる。
花にはいつも、新しい風のようなものを運んでくれる不思議があるように思う。

屋久島サウスではコスモスが咲き始め、南の島に遅い秋の訪れを告げている。

なぜかいつも、ひまわりも一緒に咲いているのが、屋久島流かもしれない。
道路沿いに広がるパステルのドットにしばらく身を包み、ふわりと癒されておく。

8本の細い線が放射状に伸びる小さなプラチナは、花弁を模した石枠となる。
こうして、花をモチーフにジュエリーを作っていると、植物たちの精巧でしなやかな作りに、いつも驚くばかりだ。
まるで空気の中から生まれてきたような、スムーズで美しい造形に憧れ、ずっと追いかけてきたように思う。
花は、同じ種類のものでも、よく眺めてみると、一つ一つに個性が宿っているところも好きだ。
小さなリングにも、これから少しずつ呼吸が吹き込まれていくのだと思うと、なんだか楽しくなる。
手の中でゆっくりと、大切に育んでいきたい。
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