屋久島の雨とシャンパンゴールドの日々。
いつもながらの個人的な梅雨入り宣言だけど、
屋久島に訪れた雨期の始まりは、しとしと雨音に包まれながら、宮崎に暮らすお二人の結婚指輪を作っている。
ここのところ楽しくて作っている短い動画。
雨の情景とジュエリーと。
島のリズムが響いてくると思います。
丸く柔らかなラインを生み出す造形作業は、仏像などの木彫に似ているかもしれない。
角張った金属の中に、お二人と一緒にイメージしたリングのフォルムを配置する。
鉄鋼ヤスリを片手に持って、心を静かにして、そのリングの造形を取り出してゆく。
最初は大きく、ガリガリと、思い切り良く削り出していく。
シャンパンゴールドの破片はたくさん散らばり、切削面が艶かしい光沢を見せる。
ヤスリを少し細かい番手のものに持ち替えて、ぐるりと一周、角を落とす。
そしてもう一周。平面を分割し、たくさんの平面を重ね合わせていく。
何度も同じリズムを繰り返すと、やがてリングの表面から直線が消えてなくなり、つるりとした曲面が現れた。
リングの表面はなだらかにカーブを描いている。
側面にはしっかりとした面積の平面を残した。
リング幅は1.8mmと細身ではあるけれど、そこにはしっかりとした重みを感じることができる。
ゴールドならではの確かな手触りである。
それでもまだ、出来上がりのイメージはシャンパンゴールドの中に埋まっている状態で、そこにとどりつくまで、まだもう少しタッチを積み重ねなくてはならない。
実のところ、造形作業が完了した時が、お二人とリングにとってはスタート地点であったりする。
お二人は自然に近い暮らしをしていて、わたしもそうだけど、何かと手作業の多い日々である。
出来上がるリングに、お二人の時間が積み重なっていくように、
暮らしの中で、小さな傷や細やかな歪みが装飾になればいいと思う。
そうするとリングは常に新しい表情を見せてくれるだろう。
また強くなりつつある雨音の中、どのようにして“始まり”を生み出せばいのだろうかと考えていた。
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