シダ模様を彫り込んだシルバーリングは
つけた時に有機的なラインが現れるように、
アウトラインに緩やかなカーブを施すことにした。
まずは彼のシルバーリングを手に取る。
手作業での工程には決まりがあるようで、無いようで、
素材の硬さやボリューム感など、その時々の金属のコンディションに合わせて造形を進めていくのが面白い。
まるで生き物のようなのです。
重たいステンレスの枠にリングを置いて、
上から木を当ててコンコンコン。
カーブ具合を少しずつ大きくしながら、コンコンコン。
屋久島を旅をして作る、二人だけの結婚指輪。
五月のしずくギャラリーで一緒に過ごした時間をインスピレーションに
作業机に向かってます。
「手作業で出来上がる一つしかない感じが好きなんです」
ギャラリーでお二人とお会いした時、
彼女がそう伝えてくれたをよく覚えてる。
彼と彼女の屋久島旅があって。わたしのハンドメイドがあって。
そこから始まった結婚指輪作りも一度だけ!
コンコン作業も一度だけ!
そう思うと、今この瞬間がとても貴重に感じられた。
シルバー、22号、幅2,2mm wave
22号と大きな手をしている彼には
手元すっきり感じるように、細身のスタイルを選びました。
素材が柔らかなシルバーということもあるので、
リングに厚みを持たせてしっかりとボリュームをつけて仕上げよう。
そしてそして。
ここから紙やすりを手にして、さらに柔らかく。
1日の終わり。
イメージ通りのラインが現れて、ほっと一息です。
シダ模様は1本で、リングの1/4ほどの長さにレイアウトしたのは
彼女のリングと合わせて一つになるようなイメージがあったから。
裏側のプレーンな表情も楽しめるのが嬉しいところですね!
小さなリングだけど、お二人の想いがキュッと詰まってて、
作ってるオレもなんだか羨ましくなったワンシーン。
制作編