ノマドカフェのプルメリアが満開で、海の水も温かさを留めて、屋久島の夏はまだもう少し続く。今この瞬間を愛おしく思いながらお二人の結婚指輪を作り始めている。
海とプラチナ。始まりは大好きなこの場所から。
お二人から初めてメールを頂いたのが6月のことだったから、梅雨を越えて、もう少しで夏も越えようとしているのか。オーダーメイドの作業では、実は作っている時よりもそれまでの時間がとても長くて濃密だったりもする。
装飾的な素敵さももちろん含めて、お二人の想いを大切にデザインすると、これから始まる暮らしに指輪はずっと長く寄り添ってくれる、そんな気がしている。
お二人の物語と屋久島と、そして私が巡り会って始まった結婚指輪作りだ。
季節を越えて、海を越えてお付き合い頂いてありがとうございます!
さて、アトリエです。
プラチナは硬く丈夫な配合にして仕上げておいた。思うとずっと最初から、すっきり細身のスタイルがお二人のお気に入りだった。きっとそういった好みも近しい彼と彼女なのだろう。
出来上がりは1.6mm幅と1.9mm幅で繊細に仕上がるのだけれど、今はまだ金属の硬さや重さが際立っている。この硬質さを内側に残しつつ、柔らかな手触りを生み出してゆくタッチが大切になると思う。これまでお二人と一緒に作り上げてきた印象がいよいよカタチになる時間だ。静かに、でも確かな喜びが込み上げてくる。少しずつ、少しずつ、作業の歩みを進めてゆこう。
作業がひと段落してもまだ明るい、夏の指輪作りは楽しい。
夕暮れ時はアトリエのある南から東の海岸まで車を走らせて、日が暮れるまで海に入っていた。
波に1本乗るたびにキャッシュがクリアになってゆくような感覚もあるし、イマジネーションがチャージされてゆくような感覚もある。そうか、もしかするとそれは二つで一つなのかもしれないな、と思う。
空白と喜び。
今日の夕暮れ時みたいに、ふとした瞬間に心が柔らかに、小さな余白が生まれるような、お二人の結婚指輪になれば最高だろう。
明日もきっと良くなる。あたりはもうすっかり暗くなってきているのに、波は変わらず美しくリズムを繰り返している。
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