今年の春先、屋久島サウスのアトリエでお二人と出会い、
そこからゆっくりと結婚指輪作りを進めてきました。
あの日、一緒に思い描いたイメージが、いま、少しずつかたちを帯びてきています。
ツワブキの花咲くエンゲージリング。
シダの葉をかたどるマリッジリング。
そして、シダの葉模様を彫り込んだ、もうひとつのマリッジリング。
わたしたちが愛してやまない植物をモチーフに、
それぞれに響き合うつながりを持たせながら、
3つのジュエリーを仕立ててまいりました。
「メンズリングは、アウトドアでの活動にもフィットするように」
「彼女のリングとモチーフを分かち合おう」
新しい始まりを迎え、喜びに包まれるお二人とご一緒するオーダーメイドのひとときは、いつも楽しく、心あたたまるものです。
お二人が大切にする想いや暮らしから、ひとつだけのデザインが生まれます。
出来上がりつつあるリングたちは、どこかお二人の面影を映しているようでもあり、
寄り添いながら、これからの長い日々をともに歩んでいくことでしょう。
その歩みの中にある幸せな時間こそが、
ジュエリーとして表現したいものではないだろうか。
かたちのない大切な想いから、かたちあるものを作り出してみよう。
そう思って創作に向かい合ってきたのが、この結婚指輪なのです。
もう少しすると、いよいよこのリングが完成し、
それを合図にするように、お二人の新しい暮らしが始まりを迎えます。
少し先の未来を思い描きながら、わたしもその時を心待ちにしています。
花が散り、小さな実を結び、やがて果実を育んでいくように。
私たちもまた、新しい始まりを何度も迎えていくのかもしれません。
そんなふうにして、自然の一部として軽やかに時を歩んでいけたらいいなと思う、今日この頃です。
2025年、夏
制作編
出会い編