葉っぱの印象は百合の季節に確かめておいた。精巧で軽やかに、そしてしなやかに、植物は本当に良くできていると思う。
散歩道で葉っぱを摘んでくるりと指に纏うように。
屋久島では春と夏に咲く白い百合をモチーフにした結婚指輪作り。お花の造形がひと段落したところまではこちらに。
薄くしても硬く、しなやかさも持ち合わせている金属は?と考えるとやはりプラチナが思い浮かぶ。銀白色のトーンも百合のイメージにはぴったりだ。清楚で気品高いのである。
葉っぱ部分はプラチナの細い線を圧縮して、カーブやひねりを与えながらリングを形成していった。手の中で一つだけの造形が生まれつつある。
無駄なタッチは一つもないのかもしれない、寄り道はしていられない。
じっくりと、でも迷うことなく、今日も作っている。
そして彼女のサイズ、8号に。なんといってもここが一番大切なところ。
姿を留め時間を超える組成がプラチナの素晴らしいところだと思う。厚みは0.8mmで幅は1.5mmほどの線なのだけど、これがとっても硬い。
何十年だろうか、これから始まるお二人の時間と、共にあるリングの未来を思うと果てしない気持ちに包まれた。
自然の作り出す柔らかなラインが好きだ。
それにしても豊かな自然の中での暮らしは発見に満ちている。お二人と屋久島が、そして私が出会って生まれる一つだけのリングだ。島と遊びながら、島に学びながら作ってゆきたい。
そろそろ台風も近づいてきたのかな、スコールの頻度も高くなってきている。予報では九州の左側を通り抜けるようだけれど、何事もなく過ぎ去ってくれますように。
雨が止んだので庭先に出てみると太陽の光が眩しくて!バナナの葉っぱの木陰に隠れて空を見上げたワンシーン。
そういえば、収穫したバナナの実も黄色く熟れてきていて嬉しい。なんてことのない出来事だけれど、そこにはささやかな喜びがあって、誰かと分かち合い、季節は過ぎてゆく。これが幸せなのかなと思う。
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