
5月の爽やかな空を眺めながら、同じ鹿児島に暮らすおふたりの結婚指輪を作っている。
海を隔ててはいるけれど、近しい季節を分かち合いながら作業できることが嬉しい。
春のゆるやかな流れに足並みを揃えるように、プラチナリングが少しずつ形になってきた。
ツイストさせたプラチナは、鉄の芯金にあて、強い力を加えながら、くるりとリング状に巻いた。
実のところ、本番の制作に入る前に、シルバーを使って同じ工程を何度か試していたこともあり、
リングの中でツイストする部分とフラットになる部分を、あらかじめ計算できるようになっていた。
とてもシンプルな作業ではあるが、それだけに、手の跡が残りやすい。
思い切りよく、一度のタッチで、全ての工程を重ねていく。
おふたりの大切な想いから始まる結婚指輪づくりは、いつも新しい発見を運んできてくれる。
これまでに作ってきたジュエリーがあり、それをご覧いただき、指輪作りのお声がけをいただく。
そして、出来上がった指輪がまた新しい出会いにつながり、そこから次のインスピレーションが生まれていく。
そうしてデザインはつながりながら、少しずつ新しいものへと育まれてきた。
おふたりとご一緒する時間が、いつしか、誰かの喜びへとつながっていく。
そのような未来を想像するのも、また楽しい。
今という瞬間が、永遠の中へ溶け込んでゆく。
それはまさに、おふたりとの結婚指輪作りの中で、大切にしているテーマなのだと思う。

繰り返す波のリズム。巡りゆく季節。
作業の合間には、久しぶりにいつものビーチに出かけ、波打ち際を歩いた。

くるりと巻いたプラチナを酸素トーチの炎に包み、その両端を繋ぎ合わせていく。
プラチナは真っ赤に強い光を発するため、作業の時はサングラス越しに手元を見つめている。
繋ぎ目に、融点が少しだけ低いプラチナの小さなかけらを置き、1000度を超えるまで温度を上げていく。
すると、すっと、そのかけらだけが溶け、隙間へ流れる瞬間が訪れる。
その一瞬を見極め、リングから火を離す。
瞬きもできないような数秒間ではあるのだが(笑、ほんとうに)、 うまく繋ぎ合わせることができたように思う。
これで、ふたつの指輪の原型となるものが、はじめて揃ったというわけだ。
これからヤスリを使い、少しずつ細部の造形を整えていく。
これまでの計算された工程というよりも、手の感覚を頼りに進める時間になる。
いよいよこれから、硬い金属が、親密な着用感のある装飾品へと変化していく時を迎えることになる。
作業は、ちょうど折り返し地点を過ぎたといったところだ。

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