おふたりの結婚指輪が出来上がったのは、夏の余韻がまだ島を包み、海へと誘われるような暑い日のことでした。
シャンパンゴールドのまばゆい煌めきを、青い海の彼方に暮らすおふたりへ。
屋久島から、ご結婚おめでとうございます。
この夏を丸ごとかけた、おふたりとの結婚指輪作り。
わたしたちの暮らしの中で、
静かに心を澄ませ、自然の声に耳を澄ませると、
そこに巡りゆく大きなリズムのようなものの存在を感じることができます。
浜辺に打ち寄せる波。移ろいゆく季節。一日の始まりを告げる太陽。
それらが幾重にも重なり合い、織りなされる色鮮やかなグラデーションは、まるで奇跡のような美しさを宿しています。
私たちもまた、そのような大きな“巡り”の中のひとつなのだと感じられると、心がふっと自由になるような気がします。
そのような何気ない気づきや喜びを、分かち合える誰かがそばにいてくれると、日々は癒しに包まれるのかもしれません。
リングは、お揃いのシャンパンゴールドでお仕立てしました。
同じデザインではあるけれど、
繰り返し浜辺に打ち寄せる波のように、ほんの少しずつ形に変化を持たせて造形をすると、そこに温度を宿した、ひとつの息吹のようなものが生まれました。
その息吹は、まだとても小さく、ささやかなものかもしれません、
けれども確かに、そこには今始まったばかりの時間が携える熱量が感じられます。
思えば、冷たい北風が吹き付ける真冬にお便りをいただいたことから、指輪作りは始まりました。
やがて島には新緑の季節が訪れ、この夏を丸ごとかけて一緒に歩んできた道のりです。
新しい暮らしを始めるおふたりの喜びを、少し分けていただいていたような、
インスピレーションに満ちた日々だったように思います。
島の時間の中で進められた、ゆっくりとした指輪作りだったけど、
いつもあたたかく見守っていてくれて、本当にありがとう。
半年という時間をかけ、大切に育んできたおふたりの結婚指輪です。
その完成の喜びを、ともに分かち合いましょう。
そしてこれが、おふたりにとって同時に、始まりを告げる合図でもあります。
その眩い希望に満ちた時間を想い、幸せな気持ちに包まれながら。
ビーチの片隅に腰を下ろし、そっとリングを重ね合わせてみました。
光沢仕上げを施した彼女のリングは、降り注ぐ夏の光を抱きとめるように強く輝いています。
マット仕上げを施した彼のリングは、海の時間に溶け込み、静かな呼吸をしているようでした。
アウトラインは緩やかなカーブを描き、全体にゆったりとした雰囲気。
軽やかで、リズミカルな仕上がりでありながら、しっかりとしたシャンパンゴールドの重みが伝わってきます。
その佇まいが、ずっとここにあったかのように自然に感じられるのは、
太い部分と細い部分のバランスや、表面に巡らせた切り込み模様、
細部に至るまで細心の注意を払った精巧な技巧の賜物なのかもしれません。
Zoomでお話をしたり、サンプルリングをテストしたり、
おふたりと長い時間をかけてテストを重ねてきたので、
こうして出来上がった指輪を前にしていると、感慨深く、胸がいっぱいになりました。
これほどまでに意思疎通を重ねてきたのに、まだ実際にお会いしたことがないなんて、なんだか不思議な気持ちになりますね。
ぜひまたいつか、屋久島にもいらしてください。
おふたりの大切な想いと、この島の季節、そしてわたしが出会えたことは、本当に奇跡のように感じています。
リングの内側には、太陽が重なり合い、ひとつになるように彫刻模様を施しました。
その両脇には、互いに贈り合う言葉を刻んでいます。
彼女のリングにはオレンジ色のサファイアをセットし、温かな彩りが加わりました。
そこにもまた、ひとつの物語が秘められているようで、心惹かれます。
指輪は形あるものですが、
目には見えない部分や、心で感じるものを大切にされるおふたりとは、
深い部分で揺るぎないつながりを感じながら、指輪作りを進めてくることができたように思います。
庭先にはまだハイビスカスがいっぱいで、まだ少し夏のムードが漂っています。
ひとつの季節が過ぎ去り、指輪作りもひと段落して、なんだか少し名残惜しくも感じますが、
お互いに新しい一歩を踏み出していきましょう。
屋久島から、
おめでとう。ありがとう。
この熱帯の、胸に甘く響くムードも一緒にお届けできますように。
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