暑すぎました、屋久島。この数日は夕暮れ時の海の涼やかさを求めていたのだけど、いよいよアトリエに篭ってジュエリー作りに集中することに決めた。この猛暑を避けて、ひたすら作業机に向かっている。
夜光貝を削ったり磨いたりで、白い粉まみれでベタベタしてしまっているけれど、アトリエの中にいながら海の香りに包まれるのは悪くない。
もう10年ほど前になるだろうか、屋久島に来てすぐにこの浜のすぐ近くに暮らしていたことがあって、今の時期になると海岸沿いに提灯の明かりが並んだのを思い出す。
夏のお盆や冬の鬼火焚き、子亀の放流も、綱引きもあって、セレモニーの際は特に神聖な場所感がアップすることにワクワクしていた。
外から見ているとなかなかわからないけど、ここに暮らすとこの小さな浜を中心に小さな循環があることを体感する。
魚を釣っていただいたり、亀が産卵して新しい命が芽生えることもある。
そこで波に乗って、夜光貝をとって、ジュエリーを作るうちに、その作業自体もまた、巡りの一部なのだろうと感じるようになっていた。
海のリズム、月のリズム、
ジュエリーを作って身につけることは、自然のかけらを纏うような振る舞いなのではないだろうか。
プリミティブな響きを今の暮らしに調和させるジュエリーのスタイルを今日もまた求めながら。
「夜に光る貝」と書く夜光貝。月あかりとは関わりない語源との話ではあるけれど、思いを馳せずにはいられなくて。
エッセンスをキュッと凝縮するようなシンプルな造形。スムーズな表面を光が優しく覆います。
光の粒のような夜光貝にゴールドを組み合わると、どんなに素敵だろう!
初めて手に取った時に、探していたものが見つかったように思えて、
それからずっと夢中になって作り続けている。
2020,夏。いつものビーチにて。