シルバーでお作りするお二人の結婚指輪はいつもよりもほんの少しだけボリュームをアップさせて、コロリとした表情に仕上げていく。
つけた時にある程度の確かさを感じることができる重みをリングに与えなくてはならない。
まずは彼女のリングを丸く削り出し始める。
彼女は柔術をされているというので、つけ外しも快適な方が良いだろう。
お二人との何気ない会話だったり、島での暮らしからイメージは生まれてくる。
必然に導かれるようなデザイン作りはオーダーメイドの素敵なところだと思う。
おそらく長い歴史の中で最も広く世界の人たちに愛されているだろう、ラウンドシェイプのアウトラインを作っていくことになる。
お二人にも安らぎに似た柔らかさを感じていただけると、とても嬉しい。
鉄鋼ヤスリを荒いものから細かいものへと持ち替えながら少しずつ造形を整えていき、一番目の細かい精密ヤスリでのタッチが終わるまでは休まずに一気に手を動かし続けた。
小さなリングの中に留まることのない“流れ”を与えたかったからだ。
もちろん完璧ではなくて、造形にはほんの少しの揺れはあるかもしれない。
けれどもその揺らぎに私たちはどうしようもなく惹きつけられてしまう。
手作業には数字では表すことのできない魔法のようなものがあるように思う。
庭先では相変わらず風が強く吹いている。
ハイビスカスはまだ少し残ってくれていた。
2本のリングを削り終えるのはちょうど台風が過ぎ去った頃になるだろうか。
季節はまた新しくなりつつある。
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