
太陽の光がふわりと広がるように開く花に出会うと、明るい気持ちになれる。
それが小さなゴールドのリングであるのに、手にすると「今日もつくっていこう」と前へ進ませてくれるのは、とても不思議な力だと思う。
おふたりが記念日をお祝いするための、小さな花のリングを作っている。
大切な想いからはじまるオーダーメイドは、いつもあたたかな喜びに満ちている。
ルーペとピンセットを手に、とても細やかな作業が続いているけれど、
その合間に、ダウンジャケットを羽織って外に出かけると、島の冷たい空気をまとった鮮やかな色彩が、張りつめていた心をそっと緩めてくれる。

お気に入りの広場に咲き始めた菜の花が、少しずつ背丈を伸ばしていく様子を、今年も心弾ませながら眺めている。

精巧な細工を施した花には、すらりと伸びる茎をイメージして、細いゴールドリングをつなぎ合わせた。
シンプルなリングと合わせることで、手の中で花の表情がいっそう鮮やかに際立ってくれる。
そして、紙ヤスリで表面を整えていく。
最初は目の粗いヤスリから始め、少しずつ細かい目へと変えながら、丁寧に磨き上げていく。
とても繊細なフォルムではあるけど、リングからは硬く、たしかな手触りが伝わってくる。
わたしの手では小指にちょうど良いサイズだが、時折指に通してつけ心地を確かめながら、何度も微調整を加えていった。
花の中央にはダイヤモンドをセットすれば、いよいよリングが完成となるのだけど、
その前に、ゴールドの強度をさらに高めるために、いくつかの工業的な工程を施す予定だ。
それにしても、イエローゴールドとダイヤモンドという普遍的な組み合わせには、瞬くような美しさと、ずっと寄り添ってくれる安心感のようなものを、同時に感じることができる。
季節に咲く花も、雨上がりに眺める虹も、あるいは同じなのかもしれない。
小さな美しさの集まりが、わたしたちの日々を紡いでいくのだと思うと、今この瞬間がいっそう大切なものに感じられる。
デスクライトの光の下で眺めるダイヤモンドが、悠久の時を刻みつづけるように、静かな煌めきを放っていた。

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