屋久島サウスでは冷たい雨が降ったり止んだりを繰り返している。
二月を間近にして空気は冷たく澄み切っている。
太陽が姿を現したタイミングにフリースのパーカを羽織り庭先に出て、これから造形作業を始めるプラチナとシャンパンゴールドを眺めた。
若葉は雨の滴をぽつりぽつりと纏い、2本のリングに拍手を贈るみたいにキラキラと輝いていていた。
屋久島の冬が好きだ。
いよいよヤスリを使って本格的な造形作業を始める日。
その直前に金槌でリングの表面と側面を叩いておいた。
プラチナとゴールドをキュッと圧縮して細いリングに強度を持たせておきたかったからだ。
凸凹模様がつくまで強く叩く。
料理の下拵えのように表には出ないところをしっかりと頑張る。
鉄鋼ヤスリを片手にリングの表面を削り落としていく。
丸く柔らかに、できるだけ厚みを抑えるように意識をする。
一度進むと後には戻ることのできない造形作業だ。
少しずつ、ソフトなタッチで表面を一周分削り落とす。
次は角度を変えてもう一周といった具合に何度も同じ動作を繰り返していった。
一日の終わりにはリングの表面に浮かび上がる柔らかなラインを見ることができた。
リングの幅は1.5mm. とても繊細である。
それでも確かな質量を感じることができたのはシャンパンゴールドの素敵なところだと思う。
その輝きどちらかというと穏やかで、黄昏時に出会う光にも似ているかもしれない。
優しい癒しに包まれている。こんなにも小さなリングなのに。
作業机の上にその佇まいを眺めているだけで心穏やかになった。
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