激しく降った雨が上がった翌朝、
アトリエの庭にも山茶花が咲き始めた。
最初は正面の生垣に一つ。
よく見てみると三つ四つ花がついている!
屋久島に暮らし始めた頃、
山茶花の生垣がたくさんあって、心を躍らせたのをよく覚えてる。
自然の中に包まれていると不思議。
写真を撮ったりジュエリーを作ったり
何かを表現したくなる。
花も海も、そして山々も
いつも感動とインスピレーションを与えてくれます。
彼と彼女が大好きな北アルプスの山々をかたどって指輪を作ってます。
彼がお二人の大切な場所を伝えてくれたのが指輪作りの始まりでした。
山々のモチーフと言いますのは
リングをこのように横から見たときに、
その稜線がぐるりとリングを囲むように連なるデザインだからなのであります。
シルバーの板を切り抜いたのはいつもの糸鋸作業。
紙やすりで断面を磨きあげると、なだらかなラインが現れた。
わたしは大の断面図きであるので、
この指輪のストンの落ちた断面を見て、
屋久杉の木目や、パンとエスプレッソとのフルーツケーキや、さらにはノマドカフェさんのチーズケーキ、
世の中の美しい(美味しい)断面に想いを馳せたのは言うまでもない。
それにしても側面に山々のラインというスタイルはオブジェのようで面白い。
変わらない技術と変化を続けるアプローチがあります。
奥に見えるのが彼からいただいた北アルプスの山々の地図。
ちょうど今、手に持っている角度で、
リング上の部分のラインが稜線と重なっているのがわかりますでしょうか。。
山を愛する彼かとのデザイン作りの現場では
「双六岳のところの丸いピーク感と、南峰方面の段差をもう少し出せませんか?」
とか!
「双六岳の台地感が綺麗に出てますね。」
など!
かなり専門的な言葉が交わされたのも楽しかった思い出。
お二人の時間も、そしてこの指輪のデザインも育んでくれた自然って最高の遊び場だなと思う。
お二人にとっての始まりの場所をキュッと詰め込んだような指輪になればいいと思う。
夕暮れ時、作業をひと段落して散歩に出かけたときの色。
この時間になるとかなり涼しく感じられるので、
夕ご飯はあたたかい豚汁を作ることにしました。
椎茸にゴボウをたっぷり入れて。
秋が深まりますね。
皆さまも暖かくしてお過ごしください!