ノースに向けて車を走らせた時は、外はまだ真っ暗な闇に包まれていた。
見上げると冬の星座が頭上に輝いている。
ひんやりと、なんだか懐かしい涼しさを感じる1日の始まりだった。
アトリエのあるサウスサイドからノースサイドの宮之浦までは車を走らせて約1時間といったところだろうか。
夜明けのグラデーションを走り抜ける早朝のドライブはとても楽しい。
「東寄りのうねりは昨日よりも少し小さくなっているけれど、まだなんとか乗れそうだよ。
風は山からやや強く吹いています。」
LINEでメッセージを送ったのとほぼ同時にその友人が姿を現した。
ここで時刻は午前の5時45分である。
海の中で体感する波は本当に美しいのだけれど、海から眺める山々の情景は格別かもしれない。
「そろそろ時間です」と友人が言った。
何本か朝の波をキャッチしたところで先に彼が仕事に向かう。
太陽は登り、海からの風が吹き始めたのを感じたところでわたしも早めに切り上げることにする。
とはいえしっかりと体を動かしたあとだったので、気がつくとむっちゃ空腹だった!
宮之浦からアトリエに戻る途中は雨が激しく降ったり太陽が勢力を取り戻したり。久しぶりの虹も見る事ができた。
アトリエに戻るといつもよりも少し遅い朝食をとってシャワーを浴びてから熱いカフェオレを作って作業机に向かう。
作業台の上には作りかけのゴールドリングがあって今日のファーストタッチを待ってくれている。
寝室では妻が静かに寝息を立てている姿を思い浮かべる事ができる。
もしかすると今ここには全てがあるんじゃない?
ふとそんなことを考えると、何気ない1日の始まりがいっそう愛おしく感じられた。
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