ここのところ雨の続く屋久島だけど、南西側はいつも不思議と晴れている。県道沿いの空き地に車を停めて、お二人の暮らす小さな島のある海のずっと向こうを眺めて。
2021年夏の始まりは、屋久島と徳之島、同じ鹿児島県の小さな島を結んでお二人の指輪を作っている。お互いの島に行くには一度本土を経由するので、近いけれどなかなか遠い場所のような不思議な感覚がある。
始まりは去年の秋でしたね。長くオーダーメイドの作業にお付き合いいただいてありがとう!
年が明けた冬には月と星をかたどった婚約指輪をお届けした。
そしていよいよ始まった結婚指輪作りは屋久島の花々の祝福に包まれて。
島は昔から大好きでたくさん旅をしてきたけれど、屋久島に暮らして南国つながりのお二人と出会って結婚指輪を作るとは、あの頃の私にもイメージできなかっただろう。結婚だったり指輪だったり、ほんの小さなきっかけから何かが生まれるのだから、巡り会うことはほんと素敵。
さて、今日も大切に。屋久島サウスのアトリエで作業机に向かっている。
お二人は同じ素材、同じデザインを選んでくれたので、二本のリングを隣り合わせて作り進めてゆきたい。まずはそのファーストタッチを。
硬く配合したプラチナは火を入れて柔らかに、造形を重ねるごとに硬くなって、また火を入れて、そしてまた硬くするリズム。
酸素トーチの炎を浴びてオレンジ色に発光するプラチナを遮光グラス越しに眺めている。
鉄の芯金にプラチナの板をあてて、
ハンマーでコンコンコン。昔ながらの手作業の音が好きだ。
左側が彼リング、3.8mm 右側が彼女のリング、3.0mm ゆったり幅広デザインのリングだ。毎日ずっとつけている結婚指輪だから、確かな重みを感じつつも、軽やかなつけ心地に仕上げることが大切になってくる。彼は海に入るのでサイズ感もジャストに合わせよう。小さな傷ができたらまた磨き直して、暮らしとともに味わい深くなってゆくような、そんなリズムが気持ちいい。島の情景に溶け込むような、柔らかなリングになればいいと思っている。
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