庭先のバナナが実を大きくしている。ふわふわと風に揺られるハイビスカスの勢いもすごい。
そしてわたしはピンクゴールドのリングを作っている。
安定の夏の1日である。
季節の花や果実を眺めながら作業机に向かう日々は楽しい。
紫陽花をモチーフにしたリングも、そのような何気ない時間から生まれたジュエリーなのだと思う。
ちょうど先日、彼が作ったバナナケーキをいただいたのだけど、旬の素材を扱う料理人にはいつも憧れがあって、ジュエリー作りにもインスパイアされているような気がする。
花が咲けば花のジュエリーを、雨が降れば雫のジュエリーを。
そのような、ある種プリミティブな(あるいは、一周巡ってアバンギャルドな?)暮らしができるのが屋久島の大好きなところなのかもしれない。
そのようにして生まれる感動や喜びを分かち合うために必要なのは、やはり確かな技術なのだと思う。
さて、今日も作っている。
ピンクゴールドで作ったリングに花を一つずつ繋ぎ合わせていく。
今回の指輪作りの中で一番華やかな工程かもしれない。
リングから出る突起部分に花の中央に差し込んで、その部分をタガネで打ち付ける。
とてもシンプルなタッチではあるけれど、花の形や、それを設置する際の角度によって大きく印象が変わるので、慎重にならなくてはならない。
イメージしているのは、いつもの暮らしの中に眺める花々のリズムだ。
花飾りのような、祝福に溢れるリングになればいいと思う。
夕暮れ時には、13個全ての花をつなぎ合わせることができて、そのリングを庭先で眺めた。
ハイビスカスの木陰を抜けて届くオレンジ色の西陽が眩しかった!
ピンクゴールドの光沢仕上げにダイヤモンドを組み合わせると、今までにはなかった美しいジュエリーが生まれるに違いない。
深い緑の中に、ピンクゴールドの静かな佇まいを眺めながら、ワクワクと胸の高鳴りを感じていた。
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