
アトリエの山茶花が、いま花盛りを迎えている。
生垣になっている緑のスクリーンに、水玉模様のようにぽつぽつと浮かぶ赤いドットが、しっとりと美しい。
ここ数日というもの、目を覚ますとすぐに庭先に向かい、新しく開いた花を数えるのが楽しみになっていた。
鮮やかでいて、どこか安心するような穏やかさもある。
12月の冷たい朝が映し出す色彩が、静かな音色となって、心の奥の方に響いてくる。
これから真冬にかけては、黄色い花も咲くし、ポンカンの収穫も賑わうだろう。
屋久島サウスがカラフルな景色に包まれる、大好きな季節の始まりを感じながら。
おふたりがアトリエに来てくれたのは、庭先にハイビスカスがいっぱいで、まだまだ暑さが残る、夏の終わりのことでした。
あれから、サキシマフヨウやコスモスが咲いて、いよいよ指輪作りが始まることになったのだけど、
こうしてひとときの季節をご一緒できるのも、オーダーメイドならではの楽しさのように思う。
いつもありがとう。
喜びを分かち合いましょう。

山茶花の下で、結婚指輪の素材となるピンクゴールドを眺めてみると、そこに和やかな響きのようなものが、ぽっと灯ったように感じられた。
金属もまた、同じこの自然から生まれたものなのだ。
きらめくフォルムの中に、確かな温度が巡りゆく指輪に仕立てていきたい。

k18ピンクゴールドは、思いのほかとても硬い。
造形作業を始める前に、ガスバーナーの炎に包み、焼きなましておく。
ゴールドの細い線が真っ赤になるまでしっかりと熱を通すと、ゴールドは肩の力を抜くように、柔らかくなる。
そして、曲げたり、叩いたり、手を加えるたびに、また少しずつ硬くなっていく。
それをもう一度、焼きなまして次の工程へと進んでいく。
昔からずっと変わらない、手作業の呼吸がここにある。

そういえば、お二人の結婚指輪作りでは、月と星も大切なテーマになっていたな。
ふと、早朝に見上げた空を思い出す。
まるで水の底にいるような、深く静かな気持ちで、
いよいよ本格的な作業へと取り掛かることにした。
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