
屋久島の森に咲く小さな白い花をモチーフにした指輪作りも、いよいよ終盤へと差し掛かりました。
細いプラチナの線や薄い板を組み合わせて、ひとつひとつのパーツを仕立てているのですが、
花びらと石枠を組み合わせたお花の部分が完成し、
茎を模して造形した細いリングと組み合わせていくところです。

お花の中心に通したプラチナの線をリングに通すと、
かちりと、小さな合図のような音を立てて、一つになりました。
角度やバランスを、ここでしっかりと整えておきます。
一度火を入れて溶接を行うと、もう戻ることはできないので、細やかな調整を納得いくまで繰り返しました。
プラチナで仕立てた、シンプルで凛としたフォルム。
この中心に、一粒のダイヤモンドをセットします。
今はまだ長く伸びた石枠も、最終的には低い位置までカットされるので、すっきりとコンパクトな佇まいに仕上がるだろう。
少し先の未来を思い描きながら、ワクワクした気持ちで細やかなタッチを重ねています。

指輪作りの日々のあいだには、何度か夜明けの海へ出かけました。
気がつけば、太陽が昇る時刻もずいぶん遅くなったように感じます。
それでもまだ水温は高く、秋の東風に運ばれてきた波に乗って、アトリエに戻り、作業机に向かっていた、その清々しい余韻は、今も体の中に満ちています。

いかにも南国らしいブーゲンビリアが、この時期に咲くのは少し意外かもしれませんが、
屋久島サウスでは、春先と秋に花を咲かせる植物でもあります。
ハッとするような鮮やかな色彩に出会うと、思わず足を止めて、日向ぼっこをしてしまうのですよね。
今年もいよいよ、あと1ヶ月と少しになりました。
これからの季節は、プレゼントとしてのジュエリーをお届けする機会が増えてきますが、
このリングも、お二人に素敵な時間をお過ごしいただけるよう、
最後の仕上げを大切に進めていきたいと思っています。
そして、リングが出来上がる頃には、冬の花が咲き始めているかもしれません。
南国のあたたかな色彩に包まれる、大好きな季節を思いながら。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
制作編