はるか海を越えて、屋久島から贈る結婚指輪。
お揃いで仕立てたシダ模様。
やわらかな春の香り。
風にゆらめく緑の中で、2本のリングはまるでずっとここで佇んでいたように見えました。
指輪作りが始まったのは、椿が開花を迎え、ヒカンザクラも咲き始めた頃でした。
作業の合間には、窓の向こうに、雪をまとった山々を眺めていました。
静かで、美しい冬の日々でした。
島に暮らしていると、季節が織りなすリズムのようなものを、体で感じることができます。
植物や山々、海や月が集い、豊かなハーモニーが響いています。
やがて、リングが完成を迎え、島には春が訪れました。
シダの若葉が芽吹き、降り注ぐ太陽の光をいっぱいに浴びています。
屋久島のひとひらを紡ぐようにして、お二人の結婚指輪を作りました。
彼女のシャンパンゴールド。彼のプラチナ。
素材や表面の丸みなど、それぞれの個性を大切にしながら、
たしかな繋がりが生まれるように仕立てました。
強く差し込みはじめた昼間の陽光が、リング表面に彫刻したシダ模様の陰影を、強く浮き上がらせています。
しっかりとした金属の重みを感じるけれど、手の中に伝わる印象は、軽やかで優しい。
緑の中で柔らかく馴染んで見えるのは、
大地から生まれた金属そのものが持つ響きなのかもしれません。
サイズの大きく異なる二本のリングを手にすると、
なんだかほっこりと、あたたかな気持ちに包まれました。
もちろん、森や海は特別に美しいけれど、
島の暮らしで心に残るのは、里で過ごす何気ない時間だったりもします。
庭先や散歩道で、小さな花や若葉に出会うと、心躍ります。
自分自身もまた、その自然の一部分として響き合っているように感じられて、癒されるのかもしれません。
お気に入りの小川沿いには、ツユクサがたくさん咲き始めました。
いよいよ、これから雨が多くなる合図です。
白にピンク、黄色。名前も知らない小花たち。
雨上がりの雫がキラキラと輝いていて、まるで春を迎える祝宴をあげているようでした。
私たちよりもずっと長い時間を存在している金属に触れていると、
今、ここに在ることが、奇跡のように感じられることがあります。
潤いと光に満ちた、屋久島の祝福をお二人に。
小さく灯されたばかりのお二人の時間が、美しく紡がれてゆきますように。
指輪作りは、いよいよこれでひと段落となりました。
なんだか少しだけ名残惜しいような気もしますが、
これからが、おふたりの新しい始まりですね。
ご結婚おめでとうございます。
いつか屋久島でお会いできる日を、心より楽しみにしています。
お二人との素敵な出会いに、ありがとう!
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547