二月最後の日はしとしと雨降りでした。
朝、庭に出るとモワッと湿度に包まれる。
屋久島が屋久島らしくある季節がやってきた。
こちらは11月にしずくギャラリーにきてくれたお二人の結婚指輪。
いよいよ海を渡り、彼と彼女が暮らす鎌倉にお届けすることになりました。
寒かった冬を越えて、季節は春に。
こんなにも大きくなったユリの葉越しにプラチナリングを眺めていると、
お二人との指輪作りのいろいろが思い出されてグッときた。
荷物を無事見送って、ホッと一息。
そして、今日のジュエリー作りを始めました。
今日は夜光貝をひたすら糸鋸で切り抜き続けるぞ!と決めていた日。
厚みが5mmほどの分厚い貝殻のプレートに鋸刄をあててフレームを上下させる。
しっかりと力を入れて、ゆっくりと。
途中、何度も折れる刃を入れ替えてはまた進む。
シンプルな作業を数時間続けると、貝の粉で作業着が真っ白になってしまった。
こんな時はやっぱり海です。
ちょうど南からのウネリが届いていたので、いつものビーチに。
30分ほど波に乗って
夜光貝の粉も洗い流すと、
まっさらな状態にリセットされました。
うん。
アトリエに戻って続きを進めよう!
しずくと丸と月。
かたどった夜光貝が、一日の終わりにずらりと並びました。
きっちりと同じように、端正に削り揃えたつもりだけど、
そこにどうしても生まれる誤差があって、
そんな不均一性が案外お気に入りなんです。
手作業ならではのフィーリングだろう。
微妙な揺らぎがとても心地よく感じます。
月はネックレスに、
丸はピアスに、
しずく型はピアスとネックレスに。
手を加えるたびに、夜光貝が輝きを放ち、少しずつ息吹を帯びていく。
ゆっくりと進んでゆく時間もまた、ハンドメイドの素晴らしいところだと思う。
この喜びがジュエリーとなって、皆さまに届きますように。
今日もありがとうございました。
屋久島サウスのアトリエより。
咲き始めた桜の余韻に包まれて。
制作編
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