そうだ、夜光貝を削り始めてみよう。月が綺麗だった夕暮れ時に。
たしかに、島に暮らすようになって月をよく眺めるようになったような気がする。サンセットタイムのビーチで、夜のドライブ中に、明け方の庭先で。「あ、今日は素敵な三日月だな」なんて、ふとした瞬間に心に入ってくる感じが好きだ。
ときどきびっくりするくらいに大きく見えたりして、それを追いかけてゆくといつもの小さな月になっていたりして、子供の頃から長い付き合いだけれど、いつも楽しくて安心なのは母性的なのかもしれない。そっとそばにいてくれるような優しさがある。
わたしもまた月や海と同じサイクルの中にいるのだなと、スッと心に落ちてきて救われている。
大きなもの、小さなもの。
あるいは、ビルに囲まれた街でも雨の日にも同じようなフィーリングを感じることができたらどうだろう。ふと思い、ジュエリーのイメージが広がってゆく。
屋久島の海からいただいた夜光貝がぴったりの素材じゃないか、と。
夜光貝は表面を削り落として小さなプレート状に切り分けた。大人の両手広げたくらいの大きな貝だからだ。平に整ったプレートは糸鋸を通して小さな月をかたどってゆく。表面を丸く造形するとそこに柔らかな色彩が現れた。グリーン、ピンク、オレンジ、ブルー、、素敵なジュエリーが生まれつつある。
「ネックレスもブレスレットも作って頂いて素敵だけれど、指輪にするといつでも夜光貝の月を眺めることができて幸せな気がしますよね。」と彼女が声をかけてくれて始まった制作だ。
近しいフィーリングを分かち合いながら進めるジュエリーづくりは楽しい。いつもありがとう!
月のリズム、海のリズム。
ルーペを当てて、月を揺らしてみると色彩がゆらゆらと泳いでいるように見えて素敵だった。優しいけれど、ハッとするようなパッションを与えてくれる。
作業をしているわたし自身も間違いなく癒されているのだろうな、そんな気がしている。ゆっくりと、思いに任せてタッチを重ねてゆこう。
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